イギリス最大規模の現代アートフェアである「フリーズ・アートフェア(Frieze Art Fair)2013」が、ロンドンで10月17日から20日までの3日間に渡り開催された。同フェアはアートマガジン『FRIEZE』主催で、毎年10月に行われている。11回目となった今年は、世界30ヶ国から152のギャラリーが参加した。
会場は例年通り、ロンドン北部のリージェンツパーク内に設置。会場デザインは、ロンドンの設計事務所カーモディ・グロアーク(Carmody Groarke)が手がけた。従来よりも回廊や公共スペースを広げ、盛況ながらも落ち着きのある空間を生み出した。
「値段が高すぎる」「特定のギャラリーとのつながりが強すぎる」との批判も囁かれる同フェアだが、こうした声を受けてか、今年は実績ある老舗ギャラリーと、若手ギャラリーの区画が別々に設けられた。
例えばガゴシアンギャラリー(Gagosian gallery)は大御所ジェフ・クーンズ(Jeff Koons)にフィーチャーし、「Cat on a clothes line (yellow), 1994-2001」などの猫やハート、ロブスターなどをモチーフにしたキッチュな大型スカルプチャーを大々的に見せた。一方で、ケーリンギャラリー(Kerlin Gallery)はゴールドスミス大学大学院生であるサム・コルグ(Sam Keogh)とジョセフ・ノーナン・ギャレー(Joseph Noonan-Ganley)のコラボレーション作品を展示。
今年ロンドンではアフリカのアートシーンがかつてない注目を集めているが、フリーズロンドンでもアデル・アブデスメッド(Adel Abdessemed)、メシャック・ガバ(Meschac Gaba)、リネッテ・イアドム・ボアキエ(Lynette Yiadom-Boakye)など、アフリカをルーツに持つ注目の現代美術作家の作品が並んだ。南アフリカのギャラリー2軒の初出展もあった。
最も革新的な展示をしたギャラリーに1万ポンドが授与される「スタンドプライズ(The Stand Prize)」は、ロンドン東部に位置するキャビネット・ギャラリー(Cabinet Gallery)が受賞。2008年ターナー賞受賞のマーク・レッキー(Mark Leckey)が、ピエール・クロソウスキー(Pierre Klossowski)のペインティングを独自のスタイルで展示した。
更に、アーティストが即興制作を行う「フリーズプロジェクト」や、映像・音楽作品のパフォーマンス、現代アートに関するトピックを業界関係者で議論する「フリーズトークス」などのプログラムも連日催された。フリーズプロジェクトでは、フランスの現代美術作家リリ・レーノー・デューア(Lili Reynaud-Dewar)による”寝室”のインスタレーションなどが注目を集めた。ベッドから黒い液体が噴き出る空間に、パジャマ姿の作家本人が登場し、本作品制作に影響を受けたバイオグラフィー書籍『In My Room』を読み始める、というパフォーマンスを披露。フリーズトークスでは、アート教育の今後についての議論や、ヴォイスパフォーマーのメレディス・モンク(Meredith Monk)を迎えたトークが繰り広げられた。
会場の屋外を使った野外展示「スカルプチャーパーク」は、今年は「ヨークシャー・スカルプチャーパーク」ディレクターとして知られるクレア・リリー(Clare Lilley)が担当。同氏はギャラリーとの協力の下、11世紀から20世紀まで時代の異なる作品をロンドンの緑の中に融合させた。
フリーズロンドンの会場からスカルプチャーパークを抜けると、「フリーズ・マスターズ(Frieze Masters)」の会場に辿り着く。フリーズ・マスターズは古代から2000年以前の歴史的な作品を現代的な目線でキュレーションするアートフェアで、昨年からフリーズロンドンと同時開催されている。今年は120のギャラリーが参加した。こちらの会場でも、アフリカに関連した展示が多く見られた。
来年のロンドン「Frieze Art Fair 2014」は2014年10月16日から19日までの3日間、同じくリージェンツパークにて開催予定。