「OUVERTURE」
ブルス・ドゥ・コメルスのオープニングを飾る、13のエキシビション
ブルス・ドゥ・コメルスでの展覧会の幕開けは、「OUVERTURE(開始)」というテーマでキュレーションされた、絵画、彫刻、写真、インスタレーションなどの13のエキシビション。今回は、その一部をピックアップする。
館内に入り、すぐに心奪われるのは、自然光に包まれる中央円形空間。現在、このスペースには、スイスの現代ビジュアルアーティスト、ウルス・フィッシャーのインスタレーション作品が群を連ねている。
中央のルネサンス彫刻の模倣(原作はフィレンツェにある、ジャンボローニャによる作品)も、ジャケットを着た男の像も、椅子も、これらの作品は、なんとすべて“ロウ”製。加えて、展示中、それらには蝋燭の如く火がつけられ、少しずつ溶けて形がなくなっていくという、斬新な演出も込みで我々を出迎えるのだから驚く。
館がオープンしてから約3週間後のある日には、まだ一部しか溶けていなかったルネサンス彫刻像の女性の頭部も、ジャケットを着た男の像の頭部も、さらにその2週間後には、すっかり溶けて元の形ではなくなってしまっていた。これをみて、何かを思わずにはいられないだろう。そんな、エキセントリックな作品をも扱う美術館なのだ、ここブルス・ドゥ・コメルスは。
初っ端からいわゆる美術館の展示とは異なるアートに出会いつつ、その他にも興味深い作品が多数そろう。
1階の別室には、フランスで初公開となるアメリカ人アーティスト、デビッド・ハモンズの30点程の廃材利用のオブジェが。固定観念への示唆、人種問題警告がテーマとなっている。
左側の2段に並んだモノクロ作品は、アメリカのアーティスト兼写真家、ルイーズ・ローラーの作品。全く同じ使い捨てカップの写真が94枚並べられており、各写真の下には、エイズ救済資金援助を阻止する改正案に賛成した上院議員の名前が記されている。
3階は、“人物”が共通項の絵と彫刻の展示室。数々の作品からは、静寂さの中にどこか不穏な空気が漂う。
また、館内のギャラリーコーナー以外にも、注目すべきアート作品が展示されている。
壁から覗く、チャーミングなネズミのオブジェを発見。こちらはイギリスの現代美術家、ライアン・ガンダーによる作品で、常設展示となっている。一通り美術館の作品鑑賞を終え、ブックコーナーへ向かう手前のエレベーターホールの足元にさりげなく展示されているの、ぜひ、見つけてみて。
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