2011年に始動したミュウミュウのショートフィルムプロジェクト「MIU MIU WOMEN’S TALES(女性たちの物語)」。国際的に活躍する女性映画監督を起用し、21世紀における女性らしさをテーマに制作されてきた本シリーズは、これまでに29本の作品を発表してきました。ファッションの表現を超え、女性の視点から社会や文化を鋭く捉えるこの試みは、ミュウミュウの文化活動を象徴する存在として、長く注目を集めてきました。
Courtesy of Miu Miu
第30弾『FRAGMENTS FOR VENUS』──アリス・ディオップ監督が描く「見る」という行為
最新作となる第30弾『FRAGMENTS FOR VENUS』を手がけたのは、フランスの映画監督アリス・ディオップ。彼女はドキュメンタリーで培った視点を活かし、黒人女性の身体と美術史との関係性を鋭く問いかけます。美術館を歩く黒人女性と、ブルックリンを歩くもう一人の黒人女性。その姿を通じて、これまでの西洋美術における黒人女性の扱われ方を可視化し、新たな「ヴィーナス」の在り方を提示しています。
Courtesy of Miu Miu
詩から広がる着想と「修復の行為」
作品の着想は、アメリカの桂冠詩人ロビン・コステ・ルイスによる詩『Voyage of the Sable Venus』に由来しています。西洋美術に描かれた黒人女性の身体に焦点をあてたこの詩からインスピレーションを得て、アリスは「自分自身の存在を肯定する修復の行為」として本作を制作しました。映像は静かに進行しながらも政治的な意図を孕み、観客に「見る」という行為そのものを問い直させます。
Courtesy of Miu Miu
響き合う音楽と女性たちの存在
ラストには、音楽家ミシェル・ンデゲオチェロによる楽曲『Thus Sayeth the Lorde』が響きます。黒人女性詩人オードリー・ロードの思想をスラムポエトリーの形で歌い上げたこの曲は、映像と共鳴し、黒人女性たちの存在を讃える力強い賛歌となっています。
Courtesy of Miu Miu
ファッションと物語が織りなす映像美
「MIU MIU WOMEN’S TALES」では、出演者や物語だけでなく、ミュウミュウのコレクションが重要な役割を果たしてきました。衣服はストーリーを補強し、時に対立を浮き彫りにし、登場人物の内面を映し出す装置として機能します。『FRAGMENTS FOR VENUS』でも、ミュウミュウの服は登場人物の存在感を強調し、映像詩としての深みを与えています。
Courtesy of Miu Miu
世界に響く文化的活動として
第30弾を迎えた「MIU MIU WOMEN’S TALES」は、単なるブランド映像を超え、現代における女性像を多角的に提示する文化的プロジェクトとして、国際的な評価を確立しています。本作は2025年8月、ヴェネツィア国際映画祭「ヴェニス・デイズ」部門にて初公開され、9月15日からは動画配信サービスMUBIで世界配信が始まります。
アリス・ディオップ/ 脚本・監督
フランス人映画監督、1979年生まれ。『La Permanence』(2016年)や『Vers la tendresse』(2016年)など、疎外されたコミュニティを鋭く考察したドキュメンタリー作品を通じて、現代社会の現実を記録する重要な役割を担う人物として地位を確立する。ブレイクのきっかけとなった長編映画『サントメール ある被告』(2022年)はフィクションへの決定的な方向転換となっただけでなく、プレミア上映されたヴェネツィア国際映画祭では審査員大賞とルイジ・デ・ラウレンティス賞(新人監督賞)の両賞を獲得。乳児の娘を育児放棄したセネガル人女性の乳児殺害事件の裁判を傍聴したことにインスパイアされた本作は、裁判所の審理を母性と移民、正義についての深い黙考へと変容させる。批評家たちはシャンタル・アケルマンによる『ジャンヌ・ディエルマン』を引き合いに出し、セリーヌ・シアマは『サントメール ある被告』を「映画詩」と評し、また本作の厳しく形式に則ったアプローチは、人間の体験と向き合ううえでのストーリーテリングの限界に関する「知性に溢れた」考察として幅広い評価を受ける。
お問い合わせ:
ミュウミュウ クライアントサービス
Tel: 0120-451-993

第30弾『FRAGMENTS FOR VENUS』──アリス・ディオップ監督が描く「見る」という行為
最新作となる第30弾『FRAGMENTS FOR VENUS』を手がけたのは、フランスの映画監督アリス・ディオップ。彼女はドキュメンタリーで培った視点を活かし、黒人女性の身体と美術史との関係性を鋭く問いかけます。美術館を歩く黒人女性と、ブルックリンを歩くもう一人の黒人女性。その姿を通じて、これまでの西洋美術における黒人女性の扱われ方を可視化し、新たな「ヴィーナス」の在り方を提示しています。

詩から広がる着想と「修復の行為」
作品の着想は、アメリカの桂冠詩人ロビン・コステ・ルイスによる詩『Voyage of the Sable Venus』に由来しています。西洋美術に描かれた黒人女性の身体に焦点をあてたこの詩からインスピレーションを得て、アリスは「自分自身の存在を肯定する修復の行為」として本作を制作しました。映像は静かに進行しながらも政治的な意図を孕み、観客に「見る」という行為そのものを問い直させます。

響き合う音楽と女性たちの存在
ラストには、音楽家ミシェル・ンデゲオチェロによる楽曲『Thus Sayeth the Lorde』が響きます。黒人女性詩人オードリー・ロードの思想をスラムポエトリーの形で歌い上げたこの曲は、映像と共鳴し、黒人女性たちの存在を讃える力強い賛歌となっています。

ファッションと物語が織りなす映像美
「MIU MIU WOMEN’S TALES」では、出演者や物語だけでなく、ミュウミュウのコレクションが重要な役割を果たしてきました。衣服はストーリーを補強し、時に対立を浮き彫りにし、登場人物の内面を映し出す装置として機能します。『FRAGMENTS FOR VENUS』でも、ミュウミュウの服は登場人物の存在感を強調し、映像詩としての深みを与えています。

世界に響く文化的活動として
第30弾を迎えた「MIU MIU WOMEN’S TALES」は、単なるブランド映像を超え、現代における女性像を多角的に提示する文化的プロジェクトとして、国際的な評価を確立しています。本作は2025年8月、ヴェネツィア国際映画祭「ヴェニス・デイズ」部門にて初公開され、9月15日からは動画配信サービスMUBIで世界配信が始まります。
アリス・ディオップ/ 脚本・監督
フランス人映画監督、1979年生まれ。『La Permanence』(2016年)や『Vers la tendresse』(2016年)など、疎外されたコミュニティを鋭く考察したドキュメンタリー作品を通じて、現代社会の現実を記録する重要な役割を担う人物として地位を確立する。ブレイクのきっかけとなった長編映画『サントメール ある被告』(2022年)はフィクションへの決定的な方向転換となっただけでなく、プレミア上映されたヴェネツィア国際映画祭では審査員大賞とルイジ・デ・ラウレンティス賞(新人監督賞)の両賞を獲得。乳児の娘を育児放棄したセネガル人女性の乳児殺害事件の裁判を傍聴したことにインスパイアされた本作は、裁判所の審理を母性と移民、正義についての深い黙考へと変容させる。批評家たちはシャンタル・アケルマンによる『ジャンヌ・ディエルマン』を引き合いに出し、セリーヌ・シアマは『サントメール ある被告』を「映画詩」と評し、また本作の厳しく形式に則ったアプローチは、人間の体験と向き合ううえでのストーリーテリングの限界に関する「知性に溢れた」考察として幅広い評価を受ける。
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