「フェンディ(FENDI)」の展覧会「FENDI UN ART AUTRE―フェンディもうひとつのアート、クリエイションとイノベーションの軌跡」が4月29日まで、東京・上野の東京藝術大学美術館展示室で開催されている。
本展は世界に先駆けて日本で開催。1925年の創業から約90年に渡り受け継がれてきたフェンディの世界観を、クリエーションとイノベーションの観点に沿って紹介している。監修は美術史家・美術評論家のエマニュエラ・ノビーレ・ミーノ(Emanuela Nobile Mino)。
会場の展示コースは、メインエントランス、イントロ室、展示室、ファーアトリエの4セクションで構成。メインエントランスでは1925年にローマにオープンしたフェンディ1号店のファサードを実物大の映像で再現。イントロ室ではブランドの歴史とファークリエイションの進化の過程を映像で紹介するとともに、展示室につながるふたつのエントランス前の天井にはファーとオーガンジーのストールが吊されている。
メインの展示室では、1970年代から2013年までに制作されたものの中から、フェンディの歴史を象徴するファー作品約30点を選び展示。伝統的な製造工程と独自の実験的な技術を紹介する「アナトミーとカラー」、フェンディが考える新しいラグジュアリーの概念を紹介する「ラグジュアリーとレボリューション」という二つのセクションに分けて展示している。作品毎のラベルのほか、壁のタッチスクリーンなどでも、シーズン、種類、テクニック、特徴、カール・ラガーフェルド(Karl Lagerfeld)によるスケッチなどで、詳細な情報を知ることができる。
また、最後のセクションであるファーアトリエには工房を再現し、職人がデモンストレーションを披露。スケッチからアートピースとも呼べるファーを作り上げるまでの職人技を間近に見ることができる。
オープニングセレモニーにて、フェンディのピエトロ・ベッカーリ(Pietro Beccari)チェアマン兼CEOは「情熱と創造性、伝統を継承しながら、それを乗り越えることで新しいものを創造することはフェンディが肝に銘じていることであり、心がけていること。手作りのよさと芸術を肌で感じて、楽しんでほしい」とスピーチ。個別インタビューで「手作りのよさと芸術の融合が今回の狙い。日本は手作業による精巧なもの作りに秀でている国であり、世界に先駆けて日本で開催したのもその真摯な姿勢がフェンディと共通しているからだ。展示作品の中で一番気に入っているのは最新の2013年秋冬コレクションのワンピース。展覧会の今後の開催地については、アジアも候補にある」と答えた。
また、東京藝術大学の宮田亮平学長は同セレモニーにて、「日本にはたくさんの美術館があるが、国立大学とイタリアブランドが共同主催で展覧会を開催するというのは画期的なこと。関係をこの展覧会だけで終わらせるのではなく、今後もフェンディと連携していきたい」とスピーチした。
また、オープニング前日に催されたレセプションパーティーでは、アーティストの松井冬子やバレエダンサーの宮尾俊太郎、歌舞伎役者の中村獅童や土屋アンナなど芸能人らも来場し、展覧会の開催を祝した。
【展覧会情報】
FENDI—UN ART AUTRE
Another Kind of Art, Creation and Innovation in Craftsmanship
—フェンディもうひとつのアート、クリエイションとイノベーションの軌跡—
会期: 2013年4月3日(水)から4月29日(月・祝)
時間:10:00から17:00(入館は16:30まで)
休館日: 毎週月曜日 ※4月29日(月・祝)は開館
会場: 東京藝術大学大学美術館展示室3,4
観覧料: 一般1,200円 高校・大学生700円(中学生以下は無料)