1/2より続く。
——日本の女性はジュエリーを使うのが、あまり上手ではないと言われることがありますが。
とんでもない!日本人のテイストは本当に素晴らしいし、食べ物の出し方一つにしても本当に素敵。伝統的なものも私にはとてもモダンに映りますし、日本の文化は驚きの連続です。本当に感銘を受けています。
——今回の来日では京都旅行を堪能したとか。
そうなんです。写真もたくさん撮りました。これは、部屋にきれいに結んで用意されていた浴衣の帯の写真。町家の格子窓は、古いものだと聞きましたが私にとってはとてもモダンに思えた。湯飲み一つとっても可愛らしいし、驚くことばかりだったんです。
欧米には、歴史のある建物も少なくありませんが、とても装飾的です。その点日本の家は、シンプルで美しく、はるかにモダン。そして、自然の素材を巧みに使っています。特に畳が気に入りました。
食べ物もそうです。日本の食事はずっと洗練されていて、気配りされています。ニンジンを花の形に切るなんて!日本庭園も、石庭などコンビネーションが素晴らしいし、整然と掃かれていながら、なお自然でもある。本当に美しく、刺激的で、滞在を延ばしたいくらい。京都をもっと見たいし、それから沖縄も行ってみたい。日本が大好きになりました。
——嬉しいです。もう一つ、今回栄誉ある賞を受賞しましたが、それによって何か変わったことは?
何もありません!(笑) 素晴らしいバッキンガム宮殿で豪華な式典に参加できたのは貴重な体験でした、母は私を誇りに思うと言っていましたが、その他は何も変わることはありませんね。会場にいた人達は、医者とか、消防士とか、あるいはボランティアに力を注いでいる人とか人を助けるような職業の人ばかり、私は何しているんだっけ?と思ったりもしましたが、そんな中でコスチュームジュエリーが注目されたという点では嬉しかったです。
——でも、あなたのジュエリーを身につけることで、パワーを与えられる女性もいます。
私はイギリスで育っていないので、勲章の存在を知らず、最初に手紙が届いた時は、「何?納税に何か問題?それとも何か法を犯した?」と焦ったくらい(笑)。けれど、主人が手紙を見て、腰を抜かしたんです。その手紙には、こんな章を授与するけれど、受けますか、と。更に、受賞するにあたって踏まなくてはいけない手続きのことや、授与式では、どう歩いて、どうお辞儀をし、どう振る舞えばいいか、といったことまで、こと細かに書かれていたんです。それを見て、大変なことなんだとは思いましたが、それによってデザイナーの仕事に変化が出るとは思いませんでした。
——最後に、これまでブランドを続けていく上で難しかったことは何でしたか?
何より難しかったのは、ビジネスとして継続していくことでしょうか。デザイナーとしては作りたいものを作りたいのであって、売れるものをたくさん作るというだけでは、不幸です。クリエーティブでありつつ、商業的にも成功させるというのは、今の時代、特に難しいですね。
今、ロンドンの直営店の他にも、欧州の主要な都市の百貨店にブランドのコーナーも展開しています。そこまで成長できたのは、優れたビジネスパートナーと出会ったからだと思います。彼がビジネスの側面は全部やってくれる、それはとても重要ですね。ビジネスとクリエーションは時に、矛盾することもあるけれど、それを越えていくことが、ブランドを続けていくためには必要なのです。