ロケットベンチャー、人工衛星ビジネスの話題もにぎやかで、宇宙旅行がいよいよ現実味を帯びるなか「UNNATURAL-月への身支度-」をテーマに、シアタープロダクツ(THEATER PRODUCTS)の16-17AWコレクションが発表された。
毎シーズン、凝ったテーマでコンセプチュアルにアイテムを展開する“劇場型”ブランドの未来感は、どこか80年代のニューウェイブ風。パラドキシカルなモチーフやフォルム、素材がシーズン全体を包む。
フェイクファーのニットが顔を包んだ有機的なシルエットのコートドレス、アルパカのロングカーディガンにウエストマークのハラコとレザーのベルト、2匹のフォックスのティペット、ハラコのゼブラプリントのドレスなど自然にある不自然、不自然の自然といった物の対比、組み合わせで、アールデコ調のモチーフがポイントで登場する。
“UNNATURAL”をテーマとした、月旅行への身支度にふさわしく、宇宙食のビーフカリーのアルミパッケージや、ロケットカプセル型のバッグなどアイテムへの落とし込みも楽しい。
毎シーズン楽しませてくれる音楽は、今回マルチソロパフォーマーのTuckerが全編担当。ターンテーブルのスクラッチからスタートした演奏は、エレクトーン、ベース、ドラム、ギターを一人で多重録音する即興で、レーザーカットのエンブロイダリーをレイヤードしたドレスから、レイヤードパンツスタイルなどさまざまなフォルムを重ねるコレクションと、“不整合な整合”が見事にライブで呼応した。
Text: 野田達哉