アライア(ALAÏA)がWINTER SPRING 2026 コレクションをパリで発表しました。今季のキーワードは “CONTINUUM(連続体)”。ピーテル・ミュリエが語る「革命ではなく、断絶しないことを選ぶ勇気」という言葉は、ファッションが次のフェーズに進むためのひとつの態度を提示しています。
メゾンの創始者アズディン・アライアは、生前「Intemporelle(時を超えるもの)」という言葉を好んで用いました。流行や速度とは別の時間軸で服をつくること──それは2026年を迎える今、むしろ最もラディカルな姿勢と言えるかもしれません。
Courtesy of ALAÏA
CONTINUUM──断ち切らず、継続するという“選択”
ミュリエはリリースでこう語ります。
ショーの冒頭は、静かな空気の中で始まります。制服のように端正なジャケット、スカート、シンプルなコート──しかしそのラインは身体の上で微細にねじれ、「規律」と「官能」の間に生まれる緊張を描いています。
Courtesy of ALAÏA
制服とフェミニティ──包み込むカッティングの余白
アライアの服の特徴は、身体を誇張するのではなく、「身体の内側の線」を強調することにあります。今季も、トレンチコートやスーツのような“制服性を持つ衣服”が登場しますが、袖の丸み・ウエストの落ち方・裾の揺れはどれも微かな“逸脱”を孕みます。“官能は大胆なカッティングではなく、切り取らないことから生まれる。”それは、ファッションの“見せる”という欲望とはまったく別の、「触れられるかもしれない」距離で生まれるフェミニティです。
Courtesy of ALAÏA
マクラメ、ニットパール、フェザー──手仕事が未来に向かう瞬間
今季のクラフトディテールは圧巻です。マクラメ編みのドレス、ニットパールによる装飾、羽根のように編まれたフェザー・テクスチャー。いずれも手仕事に強い重みを置きながら、“重さのある職人技が、いかに軽やかさへ昇華できるか”を問いかけます。アライアのクラフトはノスタルジーではありません。過去の技術を再現するのではなく、未来の身体のために再構成するための手仕事です。
Courtesy of ALAÏA
鏡と映像──“二重の身体”を見せるショー演出
ショー空間には、鏡とスクリーンが配置され、モデルの身体が二重に映る演出が施されました。ひとつは現実の身体、もうひとつは映像に投影された身体。「服」という存在が、身体の輪郭を記録するメディアであるという視点が、鮮烈に可視化されます。
Courtesy of ALAÏA
“Clothes that cry”──服は涙を流すことができるか
発表テキストのラストは、“Clothes that cry.”(服は泣くことができる) という言葉で締めくくられています。それは、服を感情のない“モノ”として扱うのではなく、記憶や触覚、時間を受け止める存在として捉え直すという宣言です。
今季のアライアは、劇的なシルエットでも、大胆なカットでもなく、“継続すること”を選びました。その静かな強さこそが、現在のファッションシーンにおいて最も鋭い態度なのかもしれません。
Courtesy of ALAÏA
Courtesy of ALAÏA
Courtesy of ALAÏA
Courtesy of ALAÏA
メゾンの創始者アズディン・アライアは、生前「Intemporelle(時を超えるもの)」という言葉を好んで用いました。流行や速度とは別の時間軸で服をつくること──それは2026年を迎える今、むしろ最もラディカルな姿勢と言えるかもしれません。

CONTINUUM──断ち切らず、継続するという“選択”
ミュリエはリリースでこう語ります。
“To continue is a way to move forward. Continuum.” (続けるという行為こそが前進である。)
ショーの冒頭は、静かな空気の中で始まります。制服のように端正なジャケット、スカート、シンプルなコート──しかしそのラインは身体の上で微細にねじれ、「規律」と「官能」の間に生まれる緊張を描いています。

制服とフェミニティ──包み込むカッティングの余白
アライアの服の特徴は、身体を誇張するのではなく、「身体の内側の線」を強調することにあります。今季も、トレンチコートやスーツのような“制服性を持つ衣服”が登場しますが、袖の丸み・ウエストの落ち方・裾の揺れはどれも微かな“逸脱”を孕みます。“官能は大胆なカッティングではなく、切り取らないことから生まれる。”それは、ファッションの“見せる”という欲望とはまったく別の、「触れられるかもしれない」距離で生まれるフェミニティです。

マクラメ、ニットパール、フェザー──手仕事が未来に向かう瞬間
今季のクラフトディテールは圧巻です。マクラメ編みのドレス、ニットパールによる装飾、羽根のように編まれたフェザー・テクスチャー。いずれも手仕事に強い重みを置きながら、“重さのある職人技が、いかに軽やかさへ昇華できるか”を問いかけます。アライアのクラフトはノスタルジーではありません。過去の技術を再現するのではなく、未来の身体のために再構成するための手仕事です。

鏡と映像──“二重の身体”を見せるショー演出
ショー空間には、鏡とスクリーンが配置され、モデルの身体が二重に映る演出が施されました。ひとつは現実の身体、もうひとつは映像に投影された身体。「服」という存在が、身体の輪郭を記録するメディアであるという視点が、鮮烈に可視化されます。

“Clothes that cry”──服は涙を流すことができるか
発表テキストのラストは、“Clothes that cry.”(服は泣くことができる) という言葉で締めくくられています。それは、服を感情のない“モノ”として扱うのではなく、記憶や触覚、時間を受け止める存在として捉え直すという宣言です。
今季のアライアは、劇的なシルエットでも、大胆なカットでもなく、“継続すること”を選びました。その静かな強さこそが、現在のファッションシーンにおいて最も鋭い態度なのかもしれません。



