花結い師TAKAYAの初写真展「MEN」が6月24日から29日まで東京・六本木のギャラリー ル・ベインで行われている。彼のアーティスティックで精力的な活動は、国内外問わず多くのメディアで取り上げられ、大絶賛されている。初日のオープニングレセプションには性別も年代も国籍も様々な人々が、TAKAYAの作品を一目見ようと集まった。
ギャラリーでは計31枚の写真作品が展示されている。大作が10枚ほど壁をL字に彩り、入り口右手の壁に組み写真、左手の壁に2枚の写真が配置され、更に中央近くへ5枚、窓側に12枚とスペースを最大限に生かした間隔で天井吊りの作品が並んでいる。
「MEN」は、花や植物のヘッドドレスを着けた男性を被写体にした作品だ。愛らしくも野性味あふれ、オーガニックな曲線を描く自然の形は人間の肉体の持つ曲線美に通じる。それは清々しい生命力に満ちた美しさとして1枚1枚に捉えられている。
また、同日には本人によるライブパフォーマンスも行われた。頭部に葉を結わえたモデルが静かに登場すると、ガスパール・カサド作「無伴奏チェロ組曲」の生演奏が始まり、TAKAYAが花束を持って登場。その花束をモデルに手渡すと、TAKAYAはそこから一輪の花を選び、既に結わえている葉をベースにして次々と生花を結っては、形をまとめていく。既に完成形が見えているのか、花を選ぶ指先に迷いがない。観客は息を潜めて、彼の手に握られた花の行方を静かに見守っている。「今回はたくさんの花を色々使いたかった」(TAKAYA氏)というように、自身の好きな花であるダリアを始め、色とりどりの花々は、色彩豊かなヘッドドレスへと変化していった。
会場には、ファッションデザイナー・桂由美の姿も。ショーやイベントでTAKAYAとコラボレーションしている桂氏は、「アーティスティックな感覚は誰でも持っているものではないですから。これは一つの芸術だと思うので、そういう人とコラボレーションしたいと思います。例えばこのターバンは先日お亡くなりになった平田暁夫さん(帽子デザイナー)が25年間作ってくれていたのだけど、誰でもこのターバンをつくれるわけではなくて。だから、そういうものってあるわけですよ。TAKAYAさんだから一緒にコラボレーションをするけれども、フラワーデザイナーだったら誰でも良いかっていう感じではないのです。本当に一つのものを持っていらっしゃるし。やはり、そういう人と組みたいです」と話し、一緒に組むことでTAKAYAの感性にインスパイアされ、それに共鳴して新しい何かが生み出せるという。
「みんなそうだけれど、人はその表現がそれぞれで。やっぱりこういう感覚を持っている人と一緒に仕事をしたいと思う」。また、彼女は今回の展示で馬酔木(あせび)のヘッドドレスをまとった写真がお気に入りの1枚と話してくれた。
初個展を果たしたTAKAYA氏だが、次の展望を尋ねると何とも力強い言葉が返ってきた。「もっと海外で何かをしたいと思っています。個展としては初めてだったのですが、たくさんの方が来てくださり今回は成功したと思っています。次はパフォーマンスをショーとして海外で行うとか、フランスで何かをするということをしたいですね」
花の形、人の形、同じものが二つとない個としての美をあらためて感じる興味深い展覧会である。
【イベント情報】
花結い師 TAKAYA 写真展 「MEN」
会場:ギャラリー ル・ベイン
住所:東京都港区西麻布3-16-28
会期:6月24日から29日
時間:11:00から19:00(最終日は16:00まで)
入場無料