【ルック】Haute Mode Hirata 2026年春夏コレクション──生誕100年を迎えた創設者の意思を娘、孫世代が未来へとつなぐ

2025.09.09
先週閉幕した Rakuten Fashion Week TOKYO 2026 S/S。東京の各会場で新鋭から老舗まで多彩なブランドが集い、それぞれの創造を披露しました。その3日目に登場したのが、1955年創業のオートモード平田(Haute Mode Hirata)。創設者・平田暁夫の生誕100年を記念し、娘、孫世代のモディストによる「帽子が主役」のショーが渋谷ヒカリエで開催されました。

Courtesy of Haute Mode Hirata

創設者・平田暁夫の遺産とオートモード平田
フランスの巨匠ジャン・バルテに学んだ平田暁夫は、帰国後に皇室や文化人に愛される帽子を手がけ、同時に多くのデザイナーと協働し、日の帽子文化を支えました。1955年に立ち上げたオートモード平田は、東京・西麻布を拠点に、伝統的技術とオートクチュールの精神を守り続けてきました。現在は娘の平田欧子、孫の早姫と翔がその遺産を継承し、それぞれの創造性を加えながら新たな表現を模索しています。今回のショーでは31点の新作を発表し、時代を超えた継承の物語を体現しました。

Courtesy of Haute Mode Hirata

「帽子が主役」のショー
会場となったヒカリエホールAは、帽子の流線を想起させる渦巻き状に客席が配置され、その間をモデルがゆっくりと歩みました。帽子は頭上にすとんと収まる端正なものから、歩くたびに揺れる有機的なフォルムまで、幅広い表情を披露。特に廃棄されるはずだったねぶたの和紙をチュールに貼り付けた大ぶりの帽子や、京友禅の技法を応用したKYOTO Leatherによる素材など、伝統と革新を結びつけた作品が強い印象を残しました。

Courtesy of Haute Mode Hirata

ファッションとの共演
今回の帽子の造形は、RYUNOSUKEOKAZAKIの岡﨑龍之祐、mister it.の砂川卓也、Tammeの玉田達也といった気鋭デザイナーの衣装とスタイリング彫刻的なドレスやミニマルなウェアとの融合によって、帽子は単なる装飾を超え、身体とともに語る存在となりました。伝統的なモディストの技術と現代的なファッションデザインが呼応し、帽子文化の新しい地平を示しました。

Courtesy of Haute Mode Hirata

世代を超える継承
ゲストに配られたメッセージには、「暁夫とともにある過去、私たちが生きる現在、そして帽子文化が拓く未来を捉えたもの」と記されています。帽子を形づくる型、素材選び、手の動きが生み出す曲線、細部へのこだわり──そうした技術を土台に、欧子・早姫・翔は自由な発想で作品を生み出しています。ショーの終幕後にはホワイエに11点の暁夫の帽子も展示され、三世代の歩みを静かに結び合わせていました。

Courtesy of Haute Mode Hirata

オートモード平田が今回のショーで提示したのは、帽子の未来そのものです。伝統的技法を基盤にしながら革新的な素材や表現を取り入れた作品群は、帽子を文化の象徴であり未来を切り開く存在へと昇華させました。Rakuten Fashion Week TOKYO 2026 S/Sにおけるこのショーは、過去・現在・未来を結び、帽子文化の新しい章を開いた瞬間となったのです。

Courtesy of Haute Mode Hirata
Courtesy of Haute Mode Hirata
Courtesy of Haute Mode Hirata


編集部
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