クリエーションの喜びについて「ものづくりは閉塞感があって好きではない。それでも続けられるのは成し遂げた後の開放感と作品を受け取ったお客さんの笑顔があるから」と語る、アーティストの舘鼻則孝。世の中にインパクトを与え、注目を集め続ける彼の類まれなる創造性の礎となるものはいったい何なのか。舘鼻氏の代名詞と言える、狂暴かつ甘美な曲線のシューズはどこから生まれるのか。創作の裏側をのぞきたいという“下心”から、舘鼻則孝氏にアンケートインタビューを行った。
――創作に必要なものは?
クリエーションに必要なものは、まず「誰の為に作るか」ということ。そのクライアントにエロスを感じ、表現する必要がある。形は重要ではない。大切なのは見えない部分で感じさせること。作品制作は表現するための手段でしかないので、常に優先順序が高いのは「何を作るか」ではなく、「誰に作るか」です。
――エロスを感じさせる人(アイコン)はいますか?
ソフィア・ローレン。
――作品にエロスを感じるアーティスト・クリエーターがいたら、教えてください。
トレイシー・エミン、ソフィ・カルですね。
――あなたにとってフェティシズムの対象はなんですか?
フェティシズムを感じるのは、女性の背中。自分が見たことのあるもの以上の美を生み出すことはできません。少なからず女性的なラインや形は作品の造形に影響を与えているでしょう。
――官能をひと言で表すならば。
人生のまどろみ。
【舘鼻則孝プロフィール】
1985 年、東京生まれ。歌舞伎町で銭湯「歌舞伎湯」を営む家系に生まれ鎌倉で育つ。シュタイナー教育に基づく人形作家である母親の影響で幼い頃から手でものをつくることを覚え、15 歳の時より洋服や靴の製作を独学で始める。東京藝術大学では絵画や彫刻を学び 後年は染織を専攻し、花魁に関する研究と共に日本の古典的な染色技法である友禅染を用いた着物や下駄の製作。2010 年自身のファッションブランド「NORITAKA TATEHANA」を設立。全ての工程が手仕事により完成される靴はファッションの世界にとどまらずアートの世界でも注目されている。レディー・ガガやダフネ・ギネスに作品が愛用されているということでも知られている。12月17日より、渋谷ヒカリエで個展「舘鼻則孝 展」を開催する。