ファッションヘッドライン(以下FH):ウーマン・イン・ソサエティに登壇なさった方々の考え方とファッションが変化していったこととの関係はいかがでしょうか。
塚本香編集長(以下K):男女雇用機会均等法が施行された80年代は、まだ固定された価値の中で、自分のキャリアをアップしていき、それに合わせて周辺を変えていくというゴールがあったのですが、今はそうじゃないでしょう。本日ゲストでいらしてくださった、Change.org日本代表のハリス 鈴木絵美さんやヒューマン・ライツ・ウォッチ日本代表の土井香苗さん、エコトワザ代表の大塚玲奈さんのように、社会貢献的な働き方もあれば、大企業じゃなくても自分の好きなことを仕事にするような働き方もある、つまり選択肢が広がったんだと思います。
ヴァレリー・トラニアン編集ディレクター(以下V):ファッションは女性の働き方の進化と共に変化しています。1970年代、80年代のファッションを見ると、キャリアウーマンという面が全面に出ていて、男性を真似るようなファッションでした。デザイナーもアクティブな女性、マスキュリンなファッションを意識していました。しかし、現在は、女性はフェミニンなファッションに着替えて、活躍するようになってきたと思います。ドレスコードがなくなったといっても良いでしょう。男性と同じように頑張るというより、女性の特性を生かした働き方、そうするとファッションも女性性を生かした自然体になってきたのですね。何より大事なのは、女性1人ひとりがそれぞれのスタイルを持つことだと思います。
K:今はファッションもエコの時代を迎え、違った視点でファッションを考えていく時代になっているのです。ファッションも社会とつながっていて、環境問題を例にとっても、ステラ・マッカートニー(Stella McCartney)のように動物愛護の観点からエコレザー、エコファーしか使わないデザイナーも登場しています。これからのファッションは、選択肢が広がったハイ&ロー の時代になり、もう一つの傾向として社会や環境と女性のスタイルが結びついてファッションも生き方もリラックスしたライフスタイル型が主流になってきたんです。つまり生き方とファッションが結びついてきたということです。
それに、誰かが良いといったものではなく、自分が良いと思ったものを自由に選ぶことができ「自分らしさにこだわる時代」だともいえます。ウーマン・イン・ソサエティのイベントの「イノベーションと女性の未来」に登壇なさったグーグルの執行役員・岩村さんも、「自分らしい働き方」と盛んにおっしゃっていました。
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