ふたりが近づくアートなデート。「ミシェル・ゴンドリーの世界一周」と「新たな系譜学を求めて」体験記

2014.12.22

クリエイティブでロマンチックな気分をデートで味わうには、今、東京都現代美術館展示がいい。ミシェルの日初の個展となる「ミシェル・ゴンドリーの世界一周」と、「新たな系譜学を求めて(跳躍/痕跡/身体)」という2つの異なる展示を楽しむことができる。

ミシェルは、リアルを天才的にデフォルメするファンタジックな映画監督。『エターナルサンシャイン』や『恋愛催眠のすすめ』は恋愛の痛みを知る人にはたまらない作品で、男性のファンも多い。

そして、ミシェルと言えば、Music Video。生粋のクリエイターであるミシェルの手がけたVideoはプロモーションの域を超えたアート作品だ。

Around the World in 19 videos では、迷路のような白い壁に映し出されるミシェルの代表的な19作品を楽しむことができる。スクリーンの下に表示されるSTOP、GOの指示に従い、アイディア溢れるミシェルのMusic Videoをふたりで全身に感じながら、スクリーンを追いかけよう。

ホームムービー・ファクトリーでは、カフェやガレージ、町中やリビングなどの様々なシーンのセットが展示されており、見てまわるだけで想像力がかき立てられる。それぞれのセットから、どんな登場人物やシーンが思いつくか、シーンを描き、カメラ位置や音楽まで監督になったつもりでアイディアを交換してみると、想像力や発想から互いの新たな一面を知ることができるかもしれない。

そして、『新たな系譜学をもとめて』の展示では、野村萬斎による狂言が受け継ぐ伝統の型への挑戦や、身体の動きそのものをリアルタイムで模倣したり、トレースする最先端のテクノロジーを使った実践など、身体のもつ力や可能性、神秘を感じられる。

ダムタイプの「Trace/React」というサウンドインスタレーションでは、身体によるパフォーマンス(つまり、言葉や視覚では表現できない何か)を360°回転する超指向性スピーカー5台から流れてくる音で体験できる。パフォーマーの身体が発する音、呼吸、衣擦れ、足音をインスタレーションするという試みだ。

ふたりで手をつないで目を瞑り、音の波の中を歩いてみよう。彼の手に引かれてスピーカーの間を前進すると、音の波がつくる壁や亀裂、そこにいないパフォーマーの動きの気配と、隣にいる彼の気配や動き、体温を同時にそしていつもより密接に感じることができるのはないだろうか。 

2つの展示に触発されて、互いの想像力を覗き、身体そのものの形態やそれがもつ機能に敏感になるデート。感性を刺激し合う体験が、ふたりの距離を縮めてくれるに違いない。

イベント情報】
「ミシェル・ゴンドリーの世界一周」展
第5回東京アートミーティング「新たな系譜学をもとめて-跳躍/痕跡/身体」
会場:東京都現代美術館
住所:東京都江東区三好4-1-1
会期:9月27日から1月4日
休館日:月曜日(10月13日、11月3日、11月24日は開館、翌火曜日休館)
時間:10:00から18:00(入場は17:30まで)
料金:「ミシェル・ゴンドリーの世界一周」展 一般1,000円 大学生・65才以上800円 中高生600円 小学生以下無料、第5回東京アートミーティング「新たな系譜学をもとめて-跳躍/痕跡/身体」 一般1,200円 大学生・65才以上900円 中高生600円 小学生以下無料
沙耶佳.O
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