11月24日までベネチアでビエンナーレが開催されている。2年に1度行われる現代美術の祭典では、自国の「今」を表現するのに最も相応しい作家を各国が選出し、展示を行う。1895年の初開催から 第55回となる今回のビエンナーレには88ヶ国が参加。
この現代美術のオリンピックとも呼ばれるイベントでは、国別に展示を披露する他、 一つのテーマに沿ってディレクションされる大きな企画展が行われ、 様々な団体が企画する小規模な展示も、街中に点在している。
今年の企画展では37ヶ国、150人以上のアーティスト達の作品が展示された。今年の特長は、メジャーな作家の大きなインスタレーションを展示して最新のトレンドを見せたり、若手の作家を紹介する目的で作品が選ばれてきたここ最近とは一線を画し、「エンサイクロペディック・パレス(Il Palazzo Enciclopedico)」というテーマにしっかりと沿った作品が展示されたこと。このテーマは、1920年代にイタリアから米国へ亡命したマリノ・アウリティ(Marino Auriti)という人物が1950年代に作った、世の中のすべての知識を集めて展示する架空の美術館「エンサイクロペディック・パレス・オブ・ザ・ワールド(The Encyclopedic Palace of the World)」から考案された。アウリティの架空の美術館のように、人生を掛けて「知識」を追求する作家達の作品が集められたのだ。
企画展をキュレーションするのは、ニューヨークのニューミュージアムのエキシビションディレクター、マッシミリアノ・ジオーニ(Massimiliano Gioni)。まだ40代でベネチア・ビエンナーレ史上最年少のキュレーターだ。
展示は例年どおりアルセナーレとセントラルパビリオンの2会場で行われた。ジオーニがディレクションをする「エンサイクロペディック・パレス」では、アウトサイダーアートやマーケットでは「アート」にカテゴライズされない作品が多くセレクトされ、「マーケット」に偏った現在のアートのあり方を問う展示になっている。
2/3に続く