米国・ロサンゼルス(L.A.)の元祖セレブ御用達セレクトショップといえば、「フレッドシーガル(Fred Segal)」のメルローズ店とサンタモニカ店。特に、「ロン・ハーマン」と隣り合わせのメルローズ店「ロンロビンソン・アット・フレッドシーガル」は、多くのセレブが訪れるため、日本人観光客をはじめ、世界中の人々が訪れる観光スポットにもなっている。南カリフォルニアのカジュアルトレンドは、同ストアから発信していると言っても過言ではない。
総売り場面積約465平方メートルを誇るこの「ロンロビンソン・アット・フレッドシーガル」内に4月1日、約46平方メートルのウィメンズストアがオープンした。4月16日と17日の2日間に渡りオープニングパーティーが開かれ、数百人の招待客がお祝いに駆け付けた。
社長のロン・ロビンソン(Ron Robinson)氏は、創業者のフレッド・シーガル氏より受け継いだ「フレッドシーガル」の旗艦店(メンズ店、キッズ店、コスメ店)を36年間に渡って経営してきたファッションエキスパート。「最近のL.A.の女性は、スポーツジムやヨガの帰りに、アクティブウエアのままデートに出かけたり、ディナーに出かけたりしている。そういう忙しい女性達のための店を作ってみようと思った」と話す。「ファッションは服だけではない。香水や時計など、自分を表現するアート。この店のインテリアは、キャンバスがコンセプトで、絵を描くように、服やアクセサリーをディスプレイしている」(同氏)。
商品の価格帯は、50ドルから500ドル(約5,000円から5万円)。15ブランドを扱う。メインバイヤーのキャーレン・ミーナ副社長は、「ほとんどは、L.A.ファッションマーケットウィークで見つけたもので、L.A.のブランドを中心に、『コットン シチズン(COTTON CITIZEN)』『RアンドR サープラス(R&R SURPLUS)』『ジェット(JET)』など。友人や業界人の口コミでユニークな商品を見つけることもある」と説明する。
注目は、デンマークの「ラーベンス サロナー(rabens saloner)」、アレキサンダー・マックイーンで修業したイギリス人デザイナーの「ルーカス ヒュー(LUCAS HUGH)」、ニューヨークの「ネッシュNYC(Nesh NYC)」、デニムの「セブンフォーオールマンカインド」の設立者が立ち上げた「コーラル(Koral)」。これらのブランドは、西海岸では同ストアでしか手に入らない。
同ストアで取り扱う「マーク・ホールデン・スカーフ(Mark Holden Scarves)」のデザイナー兼設立者のマーク・ホールデン氏は、「ピースマークのシンボルやメッセージなどをスカーフに施している」と言う。ネッシュNYCのデザイナー兼設立者のブリー・チェンバース氏は、「機能的かつスタイリッシュ、洗練されたアクティブ&ストリートウエアがコンセプト。スウェットパンツとハイヒールの組み合わせが新鮮」と語る。「Jブランド」などの加工工場を経営するアダム・バヌヌ氏が立ち上げたコットン・シチズンは、ビンテージ感覚のTシャツなどを展開。「高級デニムには、高級Tシャツが必要」と話す、ウォッシュデニムの技術を持つ同氏ならではの商品が特徴だ。R&Rサープラスの共同デザイナー兼設立者のスティーブ・ローゼンスタイン氏は、「リラックスしたL.A.スタイルで、マスキュリン&フェミニンがテーマ。ノースリーブのフーディが人気」と説明。着心地の良さが魅力だ。
「大手ブランドではなく、有望な新人デザイナーの洗練された良質の商品を集めている」と言うロビンソン社長の成功の秘訣は、「商品に情熱を持つこと。他店と比較したり競争したりしないこと」。更に、「全体の5%ほどが日本人客。日本でも開店してみたい」と将来に期待する。また、同氏は、アクセサリー&ホームアクセサリー・ストア「スタイルオブジェクツ」やビューティ&アポセカリー・ストア「アポスィア」も設立し、商品の製造販売も開始するなど新事業も展開している。
「『ステューシー』や『トミー バハマ』『テッド ベーカー』『ロバート グラハム』『ニクソン ウォッチ』などさまざまなブランドが当店(メンズストア)でデビューした」とミーナ副社長が説明する通り、同ストアは新人デザイナーの登竜門的存在でもある。新しいウィメンズストアの登場で、新たなビッグブランドが誕生するかもしれない。