フェイクをリアルと見まがう時代【14-15AWトレンド3】

2014.05.03

来シーズンの“a la mode”は何か。14-15AWパリコレクションを振り返り、歴史的背景も踏まえ次にやってくるトレンドを読み解く。3回目はリアルを凌駕しつつあるフェイク素材。

フェイクの始まりはプリントにあった。捕獲禁止になった豹やシマウマなどのゴージャスな模様は、布地にプリントされおしゃれなマダムのマスト・ハブアイテムになっていった。同時にフェイクファーも登場した。

80年代にはぬいぐるみに使うようなチープなフェイクファーが、シックだった。当然フェイクファーは安価だということで重宝される場面もあったが、近年ベジタリアンや動物愛護の観点から、むしろフェイクファーやフェイクレザーを多用しようという気運も起こり、フェイク素材の開発が格段に上がってきた。

物志向を貫きリアルファーやレザーにこだわるよりも、フェイクを混在させていくのが環境にもモードの活性化にも時流にかなっているようだ。リアルを追求するために開発されたフェイクの方が、高額になるという逆転劇が起きているのも事実だ。新しい時代を見据えたラグジュアリー観が進化しているのだろう。14-15AWは、リアルを越えるフェイク素材を使用したミックス感覚が確実におしゃれといえるようだ。

詳細は写真キャプションに付記。写真は順に
「ジュンヤワタナベ・コム デ ギャルソン(JUNYA WATANABE COMME des GARCONS)」
ランバンLANVIN)」
ステラ・マッカートニーStella McCartney)」
ルイ・ヴィトンLOUIS VUITTON)」
クロエ(Chloe)」
サンローランSAINT LAURENT)」
ジバンシィ バイ リカルド ティッシ(GIVENCHY BY RICCARDO TISCH)」

次はシルエット。
Yuri Yokoi
  • ジュンヤワタナベ・コム デ ギャルソン。フェルト、レース、スパングルとあらゆる素材のパッチワーク。その中に、フェイクレザー、フェイクファーも混ぜ、素材の百花繚乱を黒のみでコレクションした
  • ランバン。極端、過度、実験のキーワードは、強く意志のある女性を象徴。そうしたイメージの女性が纏う、羽根を模したドレスは、フェイクのアイロニーで表現した極上エレガンスを漂わせる
  • ステラ マッカートニー。ベジタリアンのステラは、ファーもレザーもすべてフェイクが常識。ライフスタイルを貫くために、長年の素材研究の結果リアルを超えるフェイク素材を誕生させている
  • ルイ・ヴィトン。レザーとレザー、ツイードとレザー、異素材合わせや、布帛とレザーのアイテムをコーディネート。その中にリアルとフェイクのレザーが混在。区別も差別化もしないのがクール
  • クロエ。リアルなのにフェイク。コヨーテのファーにレオパード柄をプリントするという手の込んだファーコートは、キツネにつままれたような遊びを楽しむシックなおしゃれ
  • サンローラン。グラマラスでゴージャスなイメージ喚起することから、ムッシュサンローランもお気に入りだったレオパード柄は、エディによってアップデート。織り柄もやはりフェイクの範疇
  • ジバンシィ バイ リカルド ティッシ。蝶モチーフをコレクションに多用したジバンシィ。中でも羽根の模様をリアルに再現したプリントは圧巻。リアルを超えようとする美意識の果てしない挑戦とも受け取れる
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