アナログ超絶技法とハイテクノロジーが出会ったら?新プロジェクト「ENcounter」を始める理由【ENcounter vol.1】

2015.10.03



(改まってご挨拶をするのは初めてなので)はじめまして! FASHION HEADLINE編集部の重松です。

今回、八丈島に「黄八丈」の巧である山下さん夫妻を訪ねに行く取材からスタートした新プロジェクトENcounter」。“encounter”という言葉には、思いがけない人との出会い、遭遇といった意味があります。

八丈島の取材には、元禄元年創業の京都の西陣織の老舗細尾」のみなさんとご一緒させて頂きました。もともと、細尾の細尾真孝さんと「アナログな超絶技巧とハイテクノロジーが融合したらどうなるんだろう?」という話になったのが、この企画を始めるきっかけになりました。

ここからは、細尾さん(以下、H)と重松(以下、S)のダブルトークでお伝えします。

S:なんだかハイテクノロジーの世界もどんどん面白くなっていきますね。今年の春、細尾さんがスプツニ子!さんとグッチで発表されていたバイオテクノロジーで光るシルクを使ったプロジェクトも、未来にぶっ飛んだ感じで素敵なアプローチでしたね!

H:あのプロジェクトでも感じたのですが、テクノロジーが伝統工芸のようなアナログの超絶技法と融合することで、一気に時空を越えていく感覚があります。

S:確かに、あの作品には、過去・現在・未来が行き交うような驚きがありました!

H:細尾は西陣織の他にも、全国の染織作家の方々の問屋業も営んでいるので、様々な土地で受け継がれてきた技術にもっともっと触れる機会を作っていきたいなと。

S:私も日の染織はもちろん、良いものをもっと知りたいと常々思っていました。デジタルな世界も楽しいけど、アナログな世界にも魅力が溢れていますよね。

H:なので、「ENcounter」では伝統の技にも、未来のテクノロジーにも会いに行きましょう。

S:いやぁ、楽しみです!今回訪ねた「黄八丈めゆ工房」さん、素敵な時間が流れていましたね。「黄八丈」にも自然素材を組み合わせて化学反応させる媒染があって、昔の人はこれをどうやって発見したんだろうという驚きもありました。

H:本当に、そうですね。先日、奄美大島でも泥染を見てきたのですが、「黄八丈」にも泥染があったり、技法はもちろんですが、作り手さんたちの哲学にも通じるものがあるなと思いました。

S:八丈島も奄美大島も、島の与えてくれる自然を受け止めながら暮らしている人々の知恵を感じますね。なんだか、都会に住んでいると忘れがちな感覚というか。

H:日本にも、世界にも脈々と受け継がれてきた驚くべき技がたくさんあって、ちゃんとその良さを発信していくと、ちゃんと伝わる世の中になってきたなと感じています。実際に日本工芸会の会員図録をじっくりリサーチしてから来日する海外のお客さまも最近増えてきているんです。

S:そうなんですね! 海外の方はどんなものに興味を持たれているんですか?

H:草木染のような技についても関心を持たれていますし、作家ごとの意匠にも惹かれているようです。

S:今回、山下さんもフランスで「黄八丈」を着て、地下鉄に乗った時の話をしてくださいましたね。やっぱり、美しいものに境界はないのかもしれないです。

という訳で、FASHION HEADLINE新企画「ENcounter」では、素敵な出会いを求めて、日本全国津々浦々をしながら、そこで出会った物語を伝えていきたいと思います。

次回は、日本最古の染織技法「正藍冷染」を日本で唯一受け継ぐ、千葉まつ江さんに会いに、宮城原市に向かいます。

それでは、また。
Shigematsu Yuka
  • 八丈島は東京都なので、品川ナンバーの車が走っています
  • 鍛錬の末に生み出された美に触れることの出来た取材でした
  • 黄八丈の艶やかな黄色が美しい
  • 八丈島にはジュラシックパークのような緑溢れる場所もあります
  • 芙美子さんは、お手製の漬物や飛魚の肉団子などでもてなして下さいました
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