映画監督のジャック・ドゥミ（Jacques Demy）は1931年6月5日生まれ。フランス・ロワール＝アトランティック出身。1990年10月27日逝去。妻は映画監督のアニエス・ヴァルダ。息子は俳優のマチュー・ドゥミ。

港町ナントで生まれ育ち、14歳で映画監督を志す。アニメーターのポール・グリモーや、映画監督のジョルジュ・ルーキエと出会い、共に働きながら習作短篇を撮った。61年に長篇第一作『ローラ』で監督デビューし、巨匠ジャン＝ピエール・メルヴィルの目に止まり、「ヌーヴェルヴァーグの真珠」と激賛された。

ドゥミの名を一躍世界に知らしめたのが、63年にカトリーヌ・ドヌーヴ主演で製作された『シェルブールの雨傘』。カンヌ国際映画祭パルムドールを受賞、 アカデミー賞では5部門にノミネートされるなど、その年の主要映画賞を総なめにした。ミシェル・ルグランと共に手掛けた音楽はミュージカル映画の世界に新たな風を吹き込んだと言われている。50年以上経った現在も、数々の映画批評家がミュージカル映画トップ5にランクインさせるなど、 世界中で愛され続けている。

同作の成功を受け、67年には豪華キャストによる本格ミュージカル映画『ロシュフォールの恋人たち』を製作。カトリーヌ・ドヌーヴとフランソワーズ・ドルレアックの姉妹が双子を演じた。ミシェル・ルグランによる名曲の数々と共に、こちらも人々から愛され、評価され続ける映画となっている。