【ルック】フェラガモ 2026年春夏コレクション──1920年代の“ジャズ・エイジの自由”を現代の身体へ

2025.10.14
パリで発表されたフェラガモ 2026年春夏コレクションは、マクシミリアン・デイヴィスによる2年目のフェーズへと突入し、ブランドアーカイブを“纏う自由”として再編集する試みがさらに深化しました。

Courtesy of FERRAGAMO

今季のインスピレーションは、メゾンの創業年である1925年。リリースでは、当時のロサンゼルスでフェラガモが出会った女性たち──レオパードのショールを羽織った《ローラ・トッド》のアーカイブフォトが引用されています。その一枚の写真が象徴するのは、“ルールからの解放”という、エレガンスの新しい形です。

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ジャズ・エイジ、アフリカーナ・ムーブメント──装いが欲望の言語だった時代へ
1920年代、アメリカではジャズが生まれ、音楽と身体がリンクし始めた時代。同時に、アフリカ系アメリカ人の文化の表現であるアフリカーナ・ムーブメントが広がり、装いは“社会的制約を超えるための手段”として機能していました。

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マクシミリアン・デイヴィスは、この“装うこと=解放”という感覚を、フェラガモのアーカイブに重ね合わせ、1920年代特有の構造や分量感を「今の身体にフィットする柔らかさ」**で再構築しています。

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レディス──サテン、レース、フリンジが描く「動きのフェミニニティ」
レディスコレクションでは、ランジェリーのような薄さのサテン、ドロップウエストのシルエット、フリンジの揺らぎが、ジャズのリズムのように流れます。サテンシャツはボディに沿ってしなだれ、プロンジェレザーのワンピースはタキシードのような仕立てを内包し、クリスタルとビーズの刺繍は光の粒子のように肌の上で瞬きます。“フェミニン”を甘さではなく、「身体の可動域」として扱う視点が新鮮です。

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メンズ──ズートスーツ、ネクタイ、そして“装飾する男性”の再定義
メンズでは、ズートスーツのように腰で落ちるトラウザー、細長いネクタイ、柔らかなショルダーラインなどが登場。かつてジャズミュージシャンたちが誇りを込めて装った“過剰さ”が、ミニマルに翻訳された現在のフェラガモの言語として再浮上します。そこには、ジェンダーを横断する“装飾の自由”というメッセージが見え隠れします。

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バッグとシューズ──フェラガモの「足元の記号」が更新される
今季もっとも印象的なのは、シューズとバッグの造形です。新Sヒールは、足を地面から浮かせるような構造で、ラインがより官能的に。伝説的モデル「Kimo」がソフトレザーで再解釈され、曲線の“余白”が増幅されています。HUGバッグや新作Soft Ferragamo Bagは、身体に寄り添うような曲面を描きながらも、レザーワークの技術が極限まで研ぎ澄まされています。ハンドルをぐるりと囲むフェザーの装飾は、歩くたびに揺れ、アクセサリーでもあり、移動する彫刻でもあるように見えます。

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モードとしての“自由”をどう見るか
マクシミリアン・デイヴィスのフェラガモは、過去を引用しながらも、それを再現ではなく “別の視点で再起動する”ことに意義を置いています。フェラガモが創業した1925年、服はまだ“階級のコード”でした。しかし今、ミラノから発信されたこのコレクションは、「装うことは、自由を選択すること」 だと静かに問いかけています。


Courtesy of FERRAGAMO
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フェラガモ・ジャパン
0120-202-170

編集部
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