アン・ヴァンデヴォースト（An Vandervorst）と、フィリップ・アリックス（Filip Arickx）によるA.F.ヴァンデヴォースト（A.F.VANDEVORST）は、パリの北マレ地区にあるイベントスペース、エスパス・コミーヌを会場に2017-18年秋冬コレクションを発表した。オートクチュール組合より招待されて初のショーとなり、手仕事の美しさを加えてクチュール感を演出し、彼ららしいアイロニーとユーモアを交えて喝采を浴びた。

ビーズとクリスタルを刺繍したトップスや、ハンドステッチによる刺繍のドレスなど、目に見える形のクチュールアイテム以外は、クチュールとプレタ・ポルテの境目を曖昧にしたアイテムも多く、既存の形態とは異なるクチュールとして新鮮さを感じさせた。コレクション全体としては、伝統的なアイテムを型通りに着用せず、自由な発想で一つのルックを完成させる手法で統一させている。

ミリタリー風にワッペンを配したジャケットや、ブレードを飾ったナポレオンジャケットなど、ミリタリーベースのアイテムも、ラメのブーツやこのメゾンらしいラテックスのトップスをコーディネートして、モダンな印象を与えている。軍徽章やバッジを無数に取り付けたベレー帽やドクターズバッグをあしらったヘッドドレスなど、ヴィンテージの雰囲気やレトロ感も漂わせていた。

そして今回特に目を引いたのが、ゴミ袋を一つの素材として使用している点。そのまま袋状のスカートにしたものや、ティアードのロングスカートに仕立てていた。他のクチュール作品とは趣が異なるものの、壊れやすいがゆえに繊細な手作業を強いられ、細心の注意を要する点では共通項があるのかもしれない。ゴミ袋と高級素材の共存はクチュールの常識から外れるものだが、このメゾンならではの発想と機転でまとめ上げ、独特のマッチングを見せていた。