美術家の奈良美智は1959年12月5日生まれ。青森県弘前市出身。
愛知県立芸術大学を卒業するとドイツに渡り、88年にデュッセルドルフ芸術アカデミーに入学。94年にケルンに移り住むと、奈良はこの地にアトリエを構え、数々の作品を発表している。その中でも後の代表作となったのが、96年に発表された『Mumps』だ。この作品で奈良はアクリル絵の具を用いて、睨めつけるような目をした少女を描いている。一目見たら忘れられなくなるような風貌、ポップな色使い、世界観は、奈良の知名度が上がると共に、世界中で多くの人気を集めていった。
00年に帰国すると、翌年には全国5ヶ所で個展「I DON'T MIND, IF YOU FORGET ME.」を開催。これが話題となって、奈良の名前は一躍日本中に知れ渡ることになる。中でも、地元弘前で開催された展覧会では、会場設営などのために4,600人以上のボランティアが参加。市民の参加規模の大きさでも話題となった。10年にはニューヨークのアジア・ソサエティー美術館で開催した「Nobody’s Fool」が同館の最多動員記録を更新するなど、海外で催された個展でも高い評価を受けている。
なお、当初は絵画を中心に製作していた奈良だったが、帰国後はドローイングや立体作品なども扱うようになり、07年はセラミックワークにも着手している。また、ロック音楽好きでも知られており、「少年ナイフ」や「bloodthirsty butchers」などのバンドから依頼を受けて、数多くのアルバムワークも手掛けた。
これらの活動が評価され、10年にはニューヨーク国際センター賞を、13年には芸術選奨文部科学大臣賞を受賞。その作品の一部や青森県立美術館などで見ることが出来、最近では13年に十和田市で開催された展覧会「フラワーズ」や「十和田奥入瀬芸術祭」に、奈良の作品が出品された。