ビューティーブランド「ナーズ(NARS)」のアーティストリー・グローバルディレクターとして活躍する、ジェームズ・ベーマー(James Boehmer)。今年9月に開催された14SSニューヨークファッションウィークのランウェイショーでも数々のブランドのメイクアップを担当した彼が来日。14SSのメイクトレンドや、より魅力的なメイクを見つけるためのポイントを聞いた。
――ニューヨークファッションウィークを振り返って、14SSのビューティートレンドは?
来季らしさを演出するのは、なんといっても大胆なカラーのリップ、特にオレンジは新鮮で人気が出そう。僕は「クリーチャーズオブザウィンド(CREATURES OF THE WIND)」のメイクで使用したけれど、他にも「ラグ&ボーン(rag & bone)」や「DKNY」など本当にたくさんのブランドがオレンジのリップを採り入れていたよ。大胆な色使いは楽しい気分にさせてくれるね。
リップを引き立たせるために、他の部分のメイクはミニマルに仕上げるのがコツ。肌も、ファンデーションやコンシーラー、パウダーなどを駆使して素肌っぽく見せて。NARS創始者でクリエーティブディレクターのフランソワ・ナーズ(Francois Nars)と長く仕事をして学んだことの一つだけど、とにかく肌が美しいとメイクが映えるから、肌作りのプロセスは大切にしているんだ。
――美しい肌作りのためのおススメアイテムはありますか?
「NARSskinオプティマルブライトニング コンセントレート」は肌が本来持つ明るさを引き出し、「NARSskinアクアジェル ルミナスティックオイルフリーモイスチャライザー」は水分を補給してくれる。ナーズのスキンケアアイテムは基本的な9アイテムのみ。メイクアップを生かすための肌状態にすることを一番に考えて作られていて、潤いのある輝くような肌に仕上げてくれるし、メイクアップのノリもすごく良くなるんだよ。
――ショーでのメイクは、あなたの仕事の中でどのような位置付けなんでしょう?
僕達メイクアップアーティストの仕事は、トレンドを追いかけることではなく、クライアントであるファッションデザイナーの世界観をメイクという形で表現すること。ショーでのメイクも、雑誌の撮影での仕事やレッドカーペットのセレブリティへのメイク、店頭での接客などと違いはないんだよ。相手がどんな外見になりたいかを聞いて、そのアイデアをメイクという形に落とし込んで行く。そして、その最大の目的は、僕のメイクによって誰かに「自分は美しい」と強く感じてもらうことだ。
――今回の来日中に行われたメイクイベントなどで日本の女性と接してみて、どう思われましたか?
日本人女性はスキンケアに熱心で、肌もきれい。でも、メイクに対してはまだまだシャイだと思う。メイクにルールはないのだからあまり深刻に考えず、カラフルなアイカラーやリップなども、目を引くものがあったらどんどんトライしてみるといいと思う。日本人女性が大好きな、あのカラフルで美しいネイルアートを楽しむようにね。
決して、闇雲にトレンドを追う必要はないんだよ。メイクは義務ではないのだから、もしメイクをしたくなければしなくてもいいとも思う。自分自身が楽しいと感じられることをすればいいだけ。そういう姿勢で臨めば、失敗などすることはないからね。そうやって、自分が一番魅力的になれるメイクを見つけてほしい。
2/2に続く。