三越伊勢丹HDS×クールジャパン、マレーシアに新会社設立。日本の魅力を打ち出す新百貨店

2014.09.25

9月25日、株式会社三越伊勢丹ホールディングス(社:東京新宿区、代表取締役社長執行役員:大西洋 / 以下「三越伊勢丹HDS」)が、株式会社海外需要開拓支援機構(本社:東京都港区、代表取締役社長:太田信之 / 以下「クールジャパン機構」)と新プロジェクトをスタートすることを発表した。

プロジェクトの概要は、三越伊勢丹グループがマレーシア事業を展開する現地法人「Isetan of Japan SDN.BHD.(以下「IOJ」)とクールジャパン機構が、共同出資する新会社をマレーシアに設立し、現在、IOJが百貨店として運営しているマレーシア国内の4店舗のうち、「クアラルンプール伊勢丹LOT10店」の1店舗を再構築(=全館改装)して運営するというもの。

再構築のコンセプトは、「日本の優れたモノ・サービスの展開」。食品、レストランファッション衣料・雑貨、リビング用品などの、百貨店が扱う品物やサービスを通して、全館で「日本の魅力(クールジャパン)」を表現していく。

新プロジェクト発足にあたって、同日、都内で開かれた記者発表会には、三越伊勢丹HDS代表取締役社長執行役員・大西洋、同取締役常務執行役員関連事業本部長・竹田秀成、同執行役員関連事業本部海外事業部長・横山淳の3名が出席。同プロジェクトへの取り組みに至った背景を説明した。

横山氏によると、新会社への出資は、IOJ=51%、クールジャパン機構=49%。改装中は一度店をクローズするか部分ごとの改装にして運営を続けるかは未定なものの、2015年10月に新店舗としてグランドオープンすることは決定している。新店舗の名称についても未定だが、マレーシアで20年以上ビジネスをおこなってきたことで伊勢丹の名前は広く浸透しているので、「伊勢丹が運営している店舗である」ということを確かにアピール出来る名前にしたいという。

2011年から国内店舗において「日本の魅力」を発信し、新しい価値として顧客に再認識してもらうための「ジャパン・センスィズ(JAPAN SENSES)」という取り組みを行っている同社。大西社長は当時を振り返りながら、「プロジェクト発足当時、魅力あるものや技術を海外に発信するためには、そのためのコンテンツが必要だと思い、ジャパン・センスィズを立ち上げた。3年間、そこで培ってきたものを活かして取り組む新たな挑戦では、世界に誇れる、“これぞジャパン”というプロダクトを作り上げていきたい。さらに、ECでの展開も含めながらグローバル戦略を考えていく必要があると思っている」とコメント。

また、「“これぞジャパン”というプロダクト」については、「made in Japanのものであればいいのではなく、世界一のデザイン力、技術力を持つ日本じゃなきゃ生み出せないもの」であることが大事だと説明した。

さらに横山氏が、そうした商品やサービスの「見せ方」についても言及。「伊勢丹の強みは『編集力』。私たち自身が商品を選んで、編集して、売場を作っていくということが重要なポイント。単に日本産のものを並べるだけではなく、本当に価値あるものの魅力をしっかりと伝えていくことで、これまでの海外百貨店とはまったく異なる新しい店舗モデルを作りたい」と語った。

現在、クアラルンプール伊勢丹LOT10店の年間売上は約19億円だが、改装後にはこの倍を目指すという。
松本玲子
  • 会見に出席した大西洋社長
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