ランバン(LANVIN)は9月25日、15SSコレクションをパリファッションウィークにて発表した。2014年はジャンヌ・ランバンがメゾンを創設して125周年のアニバーサリーイヤー。「ブランドの125年にわたる遺産、過去、物語を再探訪することからスタートした」とアーティスティックディレクターのアルベール・エルバス(Alber Elbaz)は話す。
前半はアールデコ様式を思わせる直線的な布使いから美しいドレープを出したドレスが続々と登場。ダーツ・切り替えは排除され、極めてミニマムに仕立てられている。布は軽やかにしなり、動きにつれて嫋やかな表情を生む。続くジャケットスタイルもシンプルかつリラックスした雰囲気。
「今のライフスタイルや現代女性が何を必要としているか、自分に問い掛けてみたんだ。インターネットの影響で画面上ではかっこ良くても実生活では快適でないものをデザインしてしまう傾向にある。今シーズンはスクリーンを離れチームと共に街を歩いてみて、シンプリシティーを追求しようと決めた。必要なのは、美しく仕立てられたネイビーのロングガウンやアイボリーのTシャツドレス、テーラードやレインコートなんだ」
ウエストを締めるのは帯のように太いベルト。スリットの編み上げやジップ、ゴールドの縁取り、豪奢なアクセサリーなど装飾的なディテールがスパイスを利かせる。どれもエルバス自身のアーカイブでもある。
後半はテキスタイルに装飾性が加わった。ロマンティックなレースや絢爛なジャカード・プリントはメゾンのアーカイブから引用されたものと見て取れる。レースのワンピースに施されたパールの刺繍は、ニットにパール模様を編み込みトロンプルイユ技法をいち早くモードに取り入れたマダム・ランバンへのオマージュだろう。コートやドレス、スカートなどに用いられたゴールドジャカード地やプリントはインテリア事業も営んでいたメゾンの歴史を思い起こさせる。
「名香・アルページュからブラック、ゴールド、ブルーなどの色、ドレスのパターンなどメゾンのエッセンスを収集しているうちに、ランバンは最初のライフスタイルデザイナーであることに思い至ったんだ。“何でもないこと”がすべてで、美しいカットとフィニッシュを追求している」
まとうモデル達も歴史を表現したように老若登場。母と娘が描かれたブランドロゴを想起させる演出だった。