伊勢丹新宿店が11月に実施した雑誌「SPUR」とコラボの「MANGA TRENCH」は、用意されていたトレンチコートがほぼ完売。1週間展示された後、抽選販売が行われ、一番人気は「新テニスの王子様」だった。

同店では集英社「週刊少年ジャンプ」「ジャンプSQ.」「Cocohana」で活躍する9人の漫画家とコラボし、「サイ」「ミュラー・オブ・ヨシオクボ」の2ブランドのトレンチコートの裏地に人気マンガのコマやイラストを使用。展示初日には熱心なファンが北海道をはじめ全国から訪れた。価格帯は10万3950円から16万650円と高額ながらも、用意された30着はほぼ完売。応募者のうち伊勢丹の既存顧客は約2割で、ほとんどが伊勢丹で初めて買い物をするマンガファンであった。

今回使用された作品は、海外で人気の高い「NARUTO-ナルト-」(岸本斉史)をはじめ、「新テニスの王子様」(許斐剛)、「青の祓魔師」(加藤和恵)、「るろうに剣心」(和月伸宏)、「カッコカワイイ宣言！」(地獄のミサワ)、「砂とアイリス」(西村しのぶ)、「アシガール」(森本梢子)、くらもちふさこと槇村さとるはデビュー40周年を記念して過去の作品をコラージュするなど、多彩な顔ぶれが揃った。

この企画は“日本の力”や“日本の技術”に焦点をあてた伊勢丹新宿店リ・スタイルの独自イベント「STORE JAPAN」の一環で、中北晋史・伊勢丹新宿店リ・スタイルバイヤーは、「単なるマンガのプリントで終わらせないように、“服作り”のこだわりの背景を伝えるため、会場ではコートだけでなく使用されたパターンのレイアウトもパネルで展示した」と話す。

オリジナルプリントを製作したのはテキスタイルメーカー、小松精練。彼らが最も注力したのは、マンガファンの期待を絶対に裏切らないこと。そのため、プリントに使用するコマ選びからパターン、縫製など時間をかけて慎重に行った。特に難易度が高かったのは裏地の柄合せ。
「マンガのクオリティを損なわないように細心の注意を払った」と今回の企画をプロデュースした西野慎二郎・ガスアズインターフェイス株式会社代表取締役は語る。