「私が寝る時、身にまとうのはシャネルNo5を数滴」。余りにも有名なマリリン モンロー(Marilyn Monroe)が放ったこの言葉は当時の女性たちを魅了し、No5をこれまで以上に特別なフレグランスへと昇華させました。その歴史的インタビューから半世紀以上経った今なお、シャネル No5は世界中の女性たちに愛され続けているのです。
1921年のNo5誕生から93年。シャネルNo5のミューズとなったのは、マリリン・モンロー(Marilyn Monroe)だけではありません。その時代を代表する女性たちがNo5を纏い、イメージを表現し続けてきました。
初めて広告ヴィジュアルを飾ったのは、ガブリエル・シャネル(Gabrielle Chanel)本人。レディースファッションの概念を根本から変えた彼女は、フレグランスにおいても革新をもたらしました。単一の香りが主流であった当時、80種以上のエッセンスで創られた抽象的な香りは驚きをもたらしました。既成概念にとらわれず、新しいスタイルを生み出した彼女は、この革新的なフレグランスを表現するのに最もふさわしい存在だったのです。
1952年にはマリリン・モンロー(Marilyn Monroe)によるNo5の伝説が誕生しました。彼女は戦後間もない激動の時代だった50年代、人々の理想の女性でした。“セクシーさの中に垣間見える可愛らしさ”をもつ彼女のウィットにとんだ発言は、たちまち世界じゅうをかけめぐりました。
その後、スージー・パーカー(Suzy Parker)、アリ・マッグロー(Ali MacGraw)、ローレン・ハットン(Lauren Hutton)、キャンディス・バーゲン(Candice Bergen)、シェリル・ティーグス(Cheryl Tiegs)など次々と時代を象徴する女性たちがミューズをつとめました。
60年代後半から、世界一の美女と謳われたパリジェンヌであるカトリーヌ・ドヌーヴ(Catherine Deneuve)を抜擢。ポップでカラフルな服装に身を包んだ彼女は、まさに70年代のファッションアイコン的な存在。スクリーンの中で、ガーリーなファッションを纏い恋に命を懸けるその姿は女性の憧れそのものでした。ベッティナ・ランス監督は、彼女の独白というスタイルで、凛とした女性像を表現したコマーシャルフィルムを作成しました。
そして1980年代から90年代にかけては、キャロル・ブケーがを10年以上にわたってミューズをつとめました。その変わらぬ美貌と魅力、そして聡明さ…単なる「キレイ」や「カワイイ」だけでは表現しきれない大人のスタイルに、女性たちは新世代の理想像を見たのです。