2017年にデビューしたグリ(GRIS)というキッズブランドをご存じでしょうか。存在感と独自性に富んだデザインは、アパレル関係者やスタイリストを始めとするファッションのプロをも魅了しています。そんな大注目のグリがどんなブランドで、どんなこだわりを秘めているのか、魅力のすべてをデザイナーである井上宏有樹さんにうかがいました。
今回、グリのデザイナーということで取り上げていただき、とても嬉しく思っています。ただ、デザインは私自身が手掛けますが、あまり自分でデザイナーという意識がなく、あくまでもパタンナーという感覚で服作りをしています。私は、長年、デザイナーのイメージを型紙に起すパタンナーという仕事を専門に活動しており、経営するアパレルパターン会社から独自のものを打ち出していきたい、ここまで積み上げてきたスキルをアピールする術はないか。その手立てを模索し、辿り着いた答えとして、2017年にグリが生まれました。
私自身、娘の服を探しているときに「もっとこういうものがあれば……」と物足りなさを感じることが度々ありました。ポップなカラーやかわいらしいデザインのものは豊富にあるのですが、もっとエッジィな子供服があってもいいのではないかと。
子供だから子供らしくではなく、一つの洋服として向き合うことによって生まれる価値観があってもいいのではないかと考えたのです。だからこそ、グリは、デザインやフォルムはもちろん、柄や素材感までこだわり、納得いくまでつくり込んでいます。
ポケットの位置をどこに置くのか、1、2cmの違いで半日悩み、翌日結局ゼロから再検討するようなこともしょっちゅうですし、ボタンホールの位置や角度一つとっても時間をかけて考えます。
もちろん、着心地のよさも重視しています。子供特有のぽっこりお腹を包み込むよう身体のバランスを緻密に計算するなど、ボディラインや骨格を考慮した立体的なフォルムは、パタンナーがつくっているからこそ理想を形にできるグリのストロングポイントではないでしょうか。
グリというのは、フランス語で「くすんだ」とか「グレー」という意味です。日本語でグレーは、曖昧という意味合いで使われますし、明るいカラーが多い子供服業界では注目を集めにくい色。それをあえて使うことで、「他とは違う」「ありきたりじゃない服」というメッセージを込めています。あとは、絵本『ぐりとぐら』などの影響もあってか、子供でも「グリ! グリ! 」と口にしやすいゴロのよさもブランド名にする決め手になりました。
グリの服はオーバーサイズ感がかわいいとよく言われますが、とはいえ、やはり適正サイズがあります。お子さまにあったサイズを着ることにより、本来のかわいさが生まれる洋服です。貴重な幼少期だからこそ、その時々に子供の成長を感じ、楽しんでいただければと思います。
グリは、「都会的な服」と表現されることが多々あるのですが、私自身は、広大な野山を背景にした時に一番映えるようなイメージを持っています。どんな街、どんな環境に住むお子さんにも着こなしてもらえる服でありたいと思ってつくっていますので、ぜひ一度手に取っていただければ、今暮らす街になじむような手応えを感じてもらえるかと思います。
実際に着ていただくと「思っていたよりもなじむ。どんな服にもコーディネートしやすい」という声が多く、ありきたりではないデザインが子供心をくすぐるようなこともあるようで、もう1着、もう1着とお子さま自身がまた欲しがってくださるそうです。遊びのあるデザインをどう生かし、どうコーディネートするか、服を着るという行動を通して、グリの服がお子さまの好奇心をかき立て、感性を伸ばし、個性を養う、そういった成長の後ろ盾になればと思っています。
今シーズンのテーマは、「夜」。流れ星や夜景といったファンタスティックな一面と、闇夜という恐怖、違った2つの要素を持ち合わせたイメージになっています。ダークトーンのインパクトの強いカラーとカラーをぶつけて奇妙さを出しているのですが、こういった世界観は、映画監督ティム・バートンの映画に影響を受けている部分があります。
今季は、ダークな世界観でありながら色彩は豊かであり、恐怖感とユニークさ、愛嬌が共存しています。また、一つひとつの服の役をイメージしながら、ストーリーを紡いでいます。真っ赤な帽子をかぶった異世界に住む住人の子供が地球にきて、子供たちに紛れ込んで遊んでいる。そういった世界観を表現しています。メイングラフィックは、奇妙だけれど繊細で深く温かみのある表現が心に響く金子潤さんにお願いし、ヘッドピース(ターバン)は、Mercerieさんに協力いただくなど、多くのアーティストのエナジーが詰まったコレクションになっているので、ぜひご覧ください。
<GRIS/グリ>の商品はこちら
井上 宏有樹(いのうえ ひろゆき)
グリ デザイナー
京都府京都市生まれ。いくつかのコレクションブランドでパタンナーとして活動した後、 2009年にアパレルパターン外注会社Universal Draftingを設立。2017年より子供服ブランド グリを立ち上げ、 2019年にはパリでの展示会を行う。
【店舗情報】
伊勢丹新宿店 本館6階 リ・スタイルキッズ
【問い合わせ】
三越伊勢丹オンラインサイト https://www.mistore.jp/shopping
パタンナーが手掛ける唯一無二の子供服
今回、グリのデザイナーということで取り上げていただき、とても嬉しく思っています。ただ、デザインは私自身が手掛けますが、あまり自分でデザイナーという意識がなく、あくまでもパタンナーという感覚で服作りをしています。私は、長年、デザイナーのイメージを型紙に起すパタンナーという仕事を専門に活動しており、経営するアパレルパターン会社から独自のものを打ち出していきたい、ここまで積み上げてきたスキルをアピールする術はないか。その手立てを模索し、辿り着いた答えとして、2017年にグリが生まれました。
「甘さゼロ」独自性で子供服業界に新しい息吹をもたらす
私自身、娘の服を探しているときに「もっとこういうものがあれば……」と物足りなさを感じることが度々ありました。ポップなカラーやかわいらしいデザインのものは豊富にあるのですが、もっとエッジィな子供服があってもいいのではないかと。
子供だから子供らしくではなく、一つの洋服として向き合うことによって生まれる価値観があってもいいのではないかと考えたのです。だからこそ、グリは、デザインやフォルムはもちろん、柄や素材感までこだわり、納得いくまでつくり込んでいます。
ポケットの位置をどこに置くのか、1、2cmの違いで半日悩み、翌日結局ゼロから再検討するようなこともしょっちゅうですし、ボタンホールの位置や角度一つとっても時間をかけて考えます。
もちろん、着心地のよさも重視しています。子供特有のぽっこりお腹を包み込むよう身体のバランスを緻密に計算するなど、ボディラインや骨格を考慮した立体的なフォルムは、パタンナーがつくっているからこそ理想を形にできるグリのストロングポイントではないでしょうか。
〈GRIS/グリ〉という名前に秘められたこだわり
グリというのは、フランス語で「くすんだ」とか「グレー」という意味です。日本語でグレーは、曖昧という意味合いで使われますし、明るいカラーが多い子供服業界では注目を集めにくい色。それをあえて使うことで、「他とは違う」「ありきたりじゃない服」というメッセージを込めています。あとは、絵本『ぐりとぐら』などの影響もあってか、子供でも「グリ! グリ! 」と口にしやすいゴロのよさもブランド名にする決め手になりました。
子供の成長と共にある服
グリの服はオーバーサイズ感がかわいいとよく言われますが、とはいえ、やはり適正サイズがあります。お子さまにあったサイズを着ることにより、本来のかわいさが生まれる洋服です。貴重な幼少期だからこそ、その時々に子供の成長を感じ、楽しんでいただければと思います。
グリは、「都会的な服」と表現されることが多々あるのですが、私自身は、広大な野山を背景にした時に一番映えるようなイメージを持っています。どんな街、どんな環境に住むお子さんにも着こなしてもらえる服でありたいと思ってつくっていますので、ぜひ一度手に取っていただければ、今暮らす街になじむような手応えを感じてもらえるかと思います。
実際に着ていただくと「思っていたよりもなじむ。どんな服にもコーディネートしやすい」という声が多く、ありきたりではないデザインが子供心をくすぐるようなこともあるようで、もう1着、もう1着とお子さま自身がまた欲しがってくださるそうです。遊びのあるデザインをどう生かし、どうコーディネートするか、服を着るという行動を通して、グリの服がお子さまの好奇心をかき立て、感性を伸ばし、個性を養う、そういった成長の後ろ盾になればと思っています。
2020年 秋冬コレクションのテーマは「夜」
今シーズンのテーマは、「夜」。流れ星や夜景といったファンタスティックな一面と、闇夜という恐怖、違った2つの要素を持ち合わせたイメージになっています。ダークトーンのインパクトの強いカラーとカラーをぶつけて奇妙さを出しているのですが、こういった世界観は、映画監督ティム・バートンの映画に影響を受けている部分があります。
今季は、ダークな世界観でありながら色彩は豊かであり、恐怖感とユニークさ、愛嬌が共存しています。また、一つひとつの服の役をイメージしながら、ストーリーを紡いでいます。真っ赤な帽子をかぶった異世界に住む住人の子供が地球にきて、子供たちに紛れ込んで遊んでいる。そういった世界観を表現しています。メイングラフィックは、奇妙だけれど繊細で深く温かみのある表現が心に響く金子潤さんにお願いし、ヘッドピース(ターバン)は、Mercerieさんに協力いただくなど、多くのアーティストのエナジーが詰まったコレクションになっているので、ぜひご覧ください。
<GRIS/グリ>の商品はこちら
井上 宏有樹(いのうえ ひろゆき)
グリ デザイナー
京都府京都市生まれ。いくつかのコレクションブランドでパタンナーとして活動した後、 2009年にアパレルパターン外注会社Universal Draftingを設立。2017年より子供服ブランド グリを立ち上げ、 2019年にはパリでの展示会を行う。
【店舗情報】
伊勢丹新宿店 本館6階 リ・スタイルキッズ
【問い合わせ】
三越伊勢丹オンラインサイト https://www.mistore.jp/shopping