昨年60周年を迎えたクロエは、回顧展 「クロエ・アティチュード(Chloe Attitudes)」を、昨年秋にパリのアートスペース、パレ・ド・トーキョーで開催。その回顧展に基づき、クロエの60年の軌跡を辿る、写真集「クロエ・アティチュード」を今年10月にRizzoli New Yorkより発刊した。
フレンチシックの代表ともいえるクロエは、1952年にギャビー・アギョンが設立。ギャビーは、オートクチュール全盛の1956年、サンジェルマン・デプレのカフェ・ド・フロールで初めてのショーを開き「ラグジュアリープレタポルテ」と呼ばれた新機軸を打ち出し、ファッション界に旋風を巻き起こした。このムーブメントは、流行に敏感な女優のブリジッド・バルドー、セレブのジャクリーヌ・オナシス、ソプラノ歌手のマリア・カラスといったファッショニスタたちをたちまち魅了。こうして、クロエの歴史はスタートした。
クロエがいつの時代も女性たちに支持されるのは、常に女性に寄り添い、女性の心に語りかけるファッションを提供してきたからといわれる。1965年、28歳のカール・ラガーフェルドは、クロエのデザインスタジオに迎えられ、その後も時代を象徴するデザイナー達に引き継がれていった。80年代後半にはマルティーヌ・シットボン、再びカール・ラガーフェルド、ステラ・マッカートニー、21世紀のクロエ像を描き出したフィービー・フィロ、現在のクレア・ワイト・ケラーが、ブランドのDNAにデザイナー自身の個性をプラスしながら、クロエスタイルをアップデイトし続けてきた。
写真集「クロエ・アティチュード」には、巻頭にギャビー・アギオンの序文が掲載され、ヴォーグジャパンに連載を続けるロンドン在住のファッションジャーナリスト、サラ・モワーがテキストを担当、ヨウジ・ヤマモトやクロエのアートディレクション、イタリア版ヴォーグのディレクションも手がけたマーク・アスコリがアートディレクターを務めた。ジャンルー・シーフ、ヘルムート・ニュートン、パトリック・ディマルシェリエなど時代を代表するフォトグラファーの写真からは、撮影された当時の空気感までも伝わってくる。また、上品な風合いのマット紙を使用した装丁は、洗練されたクロエウーマンのテイストを表しているかのようだ。
写真集は、11月12日から12月12日までドーバーストリートマーケット・ギンザ(DOVER STREET MARKET GINZA)とクロエ直営店で限定販売。期間中、ドーバーストリートマーケット・ギンザ1階には、ギャビーがデザインした、マトラッセ織にラインストーンをトリミングしたスーツやカール・ラガーフェルドが手掛けたドレスなど貴重なアーカイブが展示されている。