【ルック】歪さの中に宿る美しさ。アンダーカバーが2026年春夏ウィメンズコレクションで描く「but beautiful 6」

2025.10.06
アンダーカバーUNDERCOVER)は、2026年春夏ウィメンズコレクションを発表しました。タイトルは「but beautiful 6」。2024年秋冬の「but beautiful 4…」に続くシリーズの最新章として、歪みや不完全さの中に潜む美しさを、春夏の軽やかな空気の中で再構築しています。

Courtesy of UNDERCOVER

“未完成”が導く、的なリアリティ
今季のコレクションを貫くのは、「誰かが感覚だけでつくった服」というコンセプトです。左右非対称のライン、歪んだパターン、はみ出した裏地、ラフな手縫いのステッチ──。完璧から少し外れた構築が、かえって人の手の温度を感じさせ、アンダーカバーらしい詩的なリアリティを生み出しています。──「服を作ったことがない人が、想像だけで服を作ったら」。──そんな発想から生まれたドレスジャケットは、手作りのぬいぐるみのような柔らかさと、不穏な静けさを併せ持ちます。まるで、壊れかけた夢の断片を縫い合わせたような存在です。

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フランスアーティスト、アン=ヴァレリー・デュポンとの共鳴
今回のコレクションは、フランス人アーティストのアン=ヴァレリー・デュポン(Anne-Valérie Dupond)氏の作品世界から強くインスピレーションを受けています。デュポン氏が手掛けるぬいぐるみのような彫刻作品は、縫い目の荒さや素材の混沌をそのままに、温もりと哀愁を帯びた独特の存在感を放ちます。ショーの終盤には、デュポン氏人が手がけた特別なピースも登場し、静かで印象的なクライマックスを飾りました。

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“歪の美”を日常に昇華するリアルクローズ
アンダーカバーは、こうした歪んだ造形を単なるアートではなく、日常に取り入れられるリアルクローズとして仕上げています。ラフに見える手縫いのステッチや非対称の構造は、着る人の動きに呼応して表情を変え、日常の中に「不完全な美」を描き出します。そこには、「完璧ではないものこそが人間的であり、美しい」という高橋盾氏の哲学が息づいています。

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コラボレーションが生み出す奥行き
今季も、アンダーカバー独自の世界観を支える多彩なコラボレーションが展開されました。シューズはBEAUTIFUL SHOES、バッグはBRIGITTE TANAKA、アイウエアはFACTORY900、ハットはKIJIMA TAKAYUKIが担当。それぞれの職人技が、素材や構造のコントラストを際立たせ、アンダーカバーらしい多層的な造形美を生み出しています。

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「but beautiful 6」は、完成を拒むことで新たな完成を見出すコレクションです。歪み、綻び、縫い目──そのすべてが、今を生きる私たちのリアルであり、美しさのかたちそのものなのかもしれません。


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編集部
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