第72回 日本伝統工芸展が日本橋三越で開催。進化し続ける工芸の“今”が集結

開催日:2025.09.03-09.15
2025.09.02
日本橋三越本店では、9月3日から「第72回 日伝統工芸展」が開催されます。入場無料で公開される本展は、伝統工芸の現在地を示す約550点の作品を一堂に集め、公募入選作から人間国宝の新作までを横断的に体験できる貴重な機会です。

日本工芸会総裁賞 諸工芸
硝子重箱「織花」(がらすじゅうばこ「おりばな」)
和泉香織
Courtesy of MITSUKOSHI

1954年に始まり、70年以上の歴史を重ねてきた日本伝統工芸展。その存在は単なる展示の場を超え、日本の工芸が歩んできた道のりと、未来に向けた表現の可能性を照射し続けてきました。陶芸、染織、漆芸、金工、木竹工、人形、諸工芸の7部門にわたり、技巧と感性を尽くした作品群は、伝統を踏まえながらも現代の美意識を宿しています。

高松宮記念賞 染織
生絹着物「万葉綺譚」(すずしきもの「まんようきたん」)
神谷 あかね
Courtesy of MITSUKOSHI

今年度の受賞作の中でも、日本工芸会総裁賞を受賞した和泉香織「硝子重箱『織』」、高松宮記念賞に選ばれた神谷あかね「生絹着物『万葉綺譚』」などは、素材の可能性と技の革新が結晶した象徴的な作品です。伝統を未来へつなぐ挑戦を体現するこれらの受賞作は、来場者に強い印象を残すでしょう。

NHK会長賞 金工
烏うり 金具(からすうり かなぐ)
竹花万貴
Courtesy of MITSUKOSHI

さらに、作家や研究者によるギャラリートークも実施され、作品が内包する背景や技術を直接学べる機会が用意されています。そして今回初めての試みとして、本館1階中央ホールでは特別展示「日本の伝統文化を未来に—伝統工芸作家が制作する作品とは—」も開催。作品制作の過程や素材を通じて、工芸を“未来に手渡す”という新たな視点を体感できます。

日本工芸会保持者賞 陶芸
備前混淆白泥花器(びぜんこんこうはくでいかき)
隠﨑隆一
Courtesy of MITSUKOSHI


伝統は過去を閉じ込めるものではなく、日常を更新するデザインの源泉でもあります。本展で提示される多彩な工芸は、そのことを静かに、しかし力強く証明しています。


Courtesy of MITSUKOSHI
【開催概要】
第72回 日本伝統工芸展
THE 72nd JAPAN TRADITIONAL Kōgei EXHIBITION

会期:2025年9月3日(水)〜9月15日(月・祝)
           午前10時〜午後7時[最終日午後5時終了]
会場:日本橋三越本店 本館7階 催物会場
主催:文化庁、東京都教育委員会、NHK、朝日新聞社、(公社)日本工芸会



お問い合わせ:
日本橋三越本店
住所:東京都中央区日本橋室町1-4-1
電話:03-3241-3311 大代表

編集部
  • 日本工芸会総裁賞 諸工芸=硝子重箱「織花」 (がらすじゅうばこ「おりばな」)和泉香織
  • 高松宮記念賞 染織=生絹着物「万葉綺譚」 (すずしきもの「まんようきたん」)神谷 あかね
  • 文部科学大臣賞 人形=桐塑布和紙貼「星取り」 (とうそぬのわしばり「ほしとり」)木村 美智子
  • 東京都知事賞 木竹工=盛籃「瑞花」 (もりかご「ずいか」)本田青海
  • NHK会長賞 金工=烏うり 金具 (からすうり かなぐ)竹花万貴
  • 日本工芸会会長賞 陶芸=織彩鉢 (しょくさいはち)早川 嘉
  • 日本工芸会保持者賞 陶芸=備前混淆白泥花器 (びぜんこんこうはくでいかき)隠﨑隆一
  • 朝日新聞社賞 漆芸=沈金象嵌宝石箱「希海」 (ちんきんぞうがんほうせきばこ「のぞみ」)水尻清甫
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