宮前義之がデザイナーに就任して6シーズン目となる「イッセイ ミヤケ(ISSEY MIYAKE)」14-15AWコレクションは、新境地に入ったようだ。テーマは「Rhythmatic Forest―森の鼓動―」。森からインパイアされたモチーフを洋服に落とし込んだ。
ショーはエキサイティングなパフォーマンスからスタート。半円形ケースを携えたモデル達が登場し、随所に立ち止まってケースを開く。中にはプリーツが施された円盤状の布が入っている。モデルが布の一部分を手に取ると、円盤は引き伸ばされ、立体へと次元をまたぎ、ドレスやトップスに変容。モデル達がそれらを着用すると万雷の拍手が巻き起こった。このアイテムは「リングプリーツ」と呼ばれる新アイテム。同心円状に幾重にも畳まれた曲線プリーツが年輪のようだ。
次シーンでは様々なストライプ柄を随所に積層プリントしたウエアが登場。積層により生地に凹凸が生まれ、動きに表情を加える。パンツ、ドレス、ジャケット、コートと展開され少し民族調の雰囲気もある。携えるレザーバッグはこのディテールと呼応する「ガストン(GUSTON)」。表面は銀面レザー、裏面には積層プリントが施されたリバーシブル仕様で、凹凸が付いたことにより内容物に合わせて立体的に変形する。ブランドのアイコンバッグを目指すという。
ラストシーンでは12-13AWで発表されたスチームストレッチシリーズに経糸にもストレッチ糸を用い、360°の伸縮性を持たせた「3Dスチームストレッチ」シリーズが披露された。1枚のテキスタイルに蒸気を当てることで立体的に収縮し、トップス、スカート、ドレスなどが形作られる。瞠目なのは、ヘムの三つ折り線まで織る際に施されていること。デザインだけでなく、生産性も考慮されているのだ。
カラーは森の四季を連想させる青、緑、赤、オレンジ、茶など。「1枚の布」というブランドルーツを見事に発展させたコレクションとなった。