ロンドンメンズファッションウィーク最終日の1月9日、ヴィヴィアン・ウエストウッド(Vivienne Westwood)がショーを開催した。”ECOTRICITY”と銘打った今季は、メンズとウィメンズ両方のコレクションを同時に発表。地球温暖化問題を提起しながら、ファッションを豊かに長く楽しための強いメッセージを投じかけた。
登場するのは若く恵まれた環境で育った特権階級出身の女性と、人生のチャンスに恵まれたはずの男性。彼等はヴィヴィアン・ウエストウッドを愛し、互いの服を交換しながらユニセックスのファッションを楽しむ。
ベースとなるのはジャケットとパンツのスーツルック。ボックス型やパワーショルダーのシルエットなど、80~90年代前半の懐かしい雰囲気が漂う。しかしそれらの組み合わせはクラシックとはかけ離れ、自由奔放に前衛的なスタイリングへとアップデートされている印象だ。前身頃をジグザグにカットオフ、リブニットのセーターをミニスカートに代用、ジャケットではなくマントを羽織って。自由で大胆なデザインの中に、ブランドの強みである独特のカッティング方法が生かされている。
継接ぎしたニットやパッチワークは、今季のテーマでもあるエコの概念を想起させた。これらインパクトのあるルックを、メタリックの輝きを放つブーツやドット柄のソックスなどパンチのきいた小物が、さらなるスパイスとして活躍。
”必要なものだけを買い、賢く選び、長持ちさせる”ことで、天然資源の搾取を制限できる。ヴィヴィアン・ウエストウッドが企業として、地球環境のために取り組む姿勢を表明すると同時に、私たち一人ひとりが行動を切り替えていかなければいけないということを、美しいコレクションを通して諭しているようだった。