様々な場面で活躍する女性達の“輝き”の理由に迫る連載インタビュー企画、第4回はコスメブランド「THREE(スリー)」のメイクアップ・クリエイティブ・ディレクターを務めるメイクアップアーティストのRIE OMOTO(リエ・オモト)さん。
インタビューの場となったTHREE 青山店のカフェ「REVIVE KITCHEN(リバイブ・キッチン)」には、ニューヨークに住むRIEさんのライフスタイルが色濃く反映されている。
――「REVIVE KITCHEN」のメニューなどにも、RIEさんが深く関わっておられるとか。
そうなんです。今もスタッフが私を見つけて「あ、またうるさいのが来たぞ」と思ったかも(笑)。普段の食事は、グルテンフリーで小麦を摂らない、砂糖も使わない。甘みを取る時はメープルシロップ、小麦の代わりはご飯、朝食には野菜や旬のフルーツをジュースにして摂る、といった食生活なんです。しかもニューヨークでは、米粉を使ったパン、玄米からできているパスタもあるので、別にひもじい思いをしたり我慢してイライラしたりしながらやっているわけじゃないんですよ(笑)。いくらでもオプションがあるの。そして、できるだけオーガニックなものを選んでいます。もちろん遺伝子組換え作物は取らないようにしています。
――元々、そういうライフスタイルを目指していらしたのですか?
本当に徹底するようになったのは、THREEの仕事をするようになってからですね。立ちあげ前に2年ほど準備期間がありましたが、その間、月に1度は日本とニューヨークを行き来していました。そのせいか時差ボケがひどく、とにかくすごく疲れるし眠いし、体が思うように動かず、そうするとメンタルにも影響が出て、思うように仕事が出来なくてというのを繰り返していたんです。そこで「このままじゃ、私は続かない」と思ったんですね。
――確かに体調が悪いと、何事もうまくいきません。
私たちの業界は体力勝負。「具合が悪いから、仕事を休みます」っていうのはあり得ませんから、これはきちんとした体調管理が必要だと痛感したのです。実際、体調を整えて仕事に臨むほうが、うまくいくし長続きする。そうでないと途中で倒れてしまうんです。
――そうして、生活を見直したら、結果が出たわけですね。
そうなんです。元気になるためにお肉を食べるという人もいますけど、私は自分の体の声に耳を傾けてみると、すごく疲れた時には、あまりご飯を食べないほうがいいとか、ジュースを飲んだりスープを食べたりということを続けると、体調も回復するし、けっこう元気になるし、それが合っているのだと思います。
――他にエクササイズもなさっていますか?
ええ。ヨガをやっています。ヨガは体のリズムを整えてくれるし、精神的にも肉体的にも、頼りになる薬みたいなものです。以前は冬になれば1、2回風邪を引いていましたが、こういうライフスタイルを送るようになってから、風邪もひかなくなって、自分でも「私、かなり元気だな」と感じるようになりました(笑)。
――お仕事がら、時間が不規則にならざるを得ないと思いますが、その点は?
寝るのは遅いですね。10時半にはベッドに入るのが理想ですが、どうしても12時半とか1時くらいになってしまいます。遊びにも行くし、夜、踊りにも行きます。その一方で公園に散歩に行ったり、自然に触れたりするのもすごく好きです。
仕事の日は家にいることが少ないので、お休みの日は家にいたい。ご飯を作るのが好きなので、お友達を招いてみんなと飲みながらご飯を食べたりすることが多いんです。私の家にはいつも誰かがいますよ。
――THREEでは、メイクやスキンケアを中心に、様々なものを提供していますね。そこに共通するコンセプトというのは?
THREEは人を美しくするところです。今はベースメイク、スキンケア、ヘアケア、ボディケアなど幅広い商品をそろえてありますが、人が美しく生活するためにはそれ以外にも、考えるべきことがたくさんあると思うんです。
カフェにしても、THREEがやるなら、やっぱりきれいになれるもの。人間らしくなれるもの、自然に近いものが軸にあります。ここに来たら、美しくなれるメニューがそろっている。だから、THREEのエクササイズマシーンなんかがあってもいいかもしれない(笑)。
――それも魅力的ですね(笑)。
実は、THREEの自転車があったらいいなと思っているんですが、残念ながら、誰も相手にしてくれない(笑)。ガソリンも使わないし電気も使わないし、体にもいい。すぐいろんな所に行けて、何よりとても自然と近いじゃないですか。だからTHREEの自転車をデザインしたいなと思っているんです。私はそういうところをどんどん広げていければいいと思います。
――美しく生きるというコンセプトに則っていますものね。
今まではきれいになるために、この化粧品が効く、こっちのほうが効果があるといった話題が中心でしたが、それだけでなく、今ニューヨークの人たちは、デトックスとか走るとかジューシングということを熱心にやっています。やはりそれで肌がものすごく蘇るからなんです。いわゆるインナービューティですよね。日本でも浸透しつつあると思いますが、ニューヨークでは、そのためのショップや商品がそろっているので、そういう生活、選択をしやすいんですね。
――RIEさんご自身のメイクは、いつもどんなことを考えてなさいますか?
着る洋服にも合わせますが、どこに行くのか、誰と会うのかを考えます。例えば、今日はジーンズでカジュアルな感じなので、メイクには色を使いました。私はその方がバランスが取れるから。でもドレスアップする時は、むしろメイクは控えめです。洋服が支えてくれる時はメイクにたくさん足さないというのが、私のスタイルですね。
――最後に、今秋のメイクで注目しているアイテムがあったら教えてください。
THREEのコレクションもそうですが、アイライナーがまた注目されていて、シャープな目元と女性らしいものを組み合わせたメイクが今年の秋らしいかなと思います。女性らしいというのは、フェミニンとかいったことではなく、強さを全面に出すのではなく、バランスの取れた女性というイメージです。
【RIE OMOTOプロフィール】
メイクアップアーティスト。1992年にヨーロッパのファッションシーンで自分自身の可能性を確かめるため渡仏。パリでトップアーティストやフォトグラファー達に才能を見出され、パオロ・ロベルシ、スティーブン・クライン、ピーター・リンドバーグとのコラボレーションにより、編集作品や広告作品に携わる。1996年にはニューヨークへ渡り、『インスタイル』誌などで活躍。2005年には、米『WWD』誌 で「世界でもっとも優れたメイクアップアーティスト100」の一人に選ばれる。